・クレイジーデザイン「ツノゼミ」。日本にも分布している種類様々なツノゼミをご紹介
小さいナリにヘルメットで個性爆発中のツノゼミ。世界中に3000以上の種類が存在するだけあって、多彩なツノを持ったツノゼミがたくさんいます。
代表的なものが「ヨツコブツノゼミ」。
なんとも形容しがたい形のツノですね。これも「雌雄のコミュニケーションに役立つのではないか」「流体力学的に飛行に適しているのでは」といくつかの説が持ち上がっています。
ちなみに学名は「Bocydium tintinnabuliferum」。「ボッキディウムチンチンナブリフェルム」です。あんまり音読したくないですね。
そしてこれも特徴的で人気の高い「ミカヅキツノゼミ」。
「C」字型に発達したツノが美しく、これは木の皮が乾燥して丸くなったものに擬態しているのでは? と言われています。
そしてシンプル・イズ・ベストなのか? 「ツノゼミ」
沖縄を除く日本全土に生息しているツノゼミです。ツノは控えめで一見、普通のセミっぽい見た目はしています。これを見ると「ああ、確かにツノが生えたセミみたいだ」と名前に納得できますね。
まあ他のヤツらがハデすぎるだけなんですが。
日本には他にも「トビイロツノゼミ」「ニトベツノゼミ」など十数種類が分布しています。夏に現れるアザミなどの汁を吸う虫なので、案外近くにいるかもしれませんね。
「Umbelligerus peruviensis」。和名不明。
和名は見つからなかったけどどうしても紹介したかった……! まるで黒い針のようなツノを持っているかっこいいツノゼミです。
そして「バラノトゲツノゼミ」。
トゲみたいな色形をしたツノゼミ。群がっている画像がちょっと怖い。これはセミというよりカメムシっぽく見えますね~。
もちろんこの他にも「ありえへんやろ!」と思わず下手な関西弁でツッコんじゃうようなツノゼミがたくさん存在しています。南米コスタリカでは今も研究者たちによる捜索が行われ、日々新種や珍種が続々発見されていることでしょう。
・ヘンな形のツノゼミ、幼虫はいったいどんな姿なの? どうしてこんな姿に進化しているのか
さて、セミといえば幼虫が土の中でゆっくり育ち、夏になるとノソノソ出てきて羽化、というお決まりのパターンがありますね。先程申し上げたとおり、ツノゼミとセミは別に対して近い分類の生き物でも無いのですが、あんなにヘンなツノゼミの幼虫時代はどんなものか気になりますよね。
ツノゼミは葉っぱの裏などに産卵し、孵化した幼虫たちはツノこそないものの既にちょっとカメムシ目っぽい見た目をしています。不完全変態する虫なので、親と姿が似ているんです。バッタやカマキリのこどもみたいなものですね。
そして親と同じように葉脈から汁を吸って成長し、脱皮を繰り返して少しずつ大きくなっていきます。そして羽化直前の形態が「終齢幼虫」、ここまで来ると、幼虫は徐々に成虫のようにツノが発達してきます。ツノの色も成虫と同じように変化していき、いよいよ羽化のときが来ます。
羽化の瞬間、ツノはまだ柔らかく引っかかることなくツルンと出てきます。そして無事に体が乾燥して固くなったら一人前の成虫へと成長できるわけです。
幼虫の頃はちょっと似ているとはいえ、特徴的なツノが未発達なんですねー。これは気づきにくいな……。
ツノゼミの特徴的なツノは「前胸」と呼ばれる部位が変化したもので、
「ヘルメット」という通称があります。
もうヘルメットというか飾り兜みたいになってますけどね。アンテナとか。
なぜツノゼミがヘルメットを持つように進化していったのかは未だに完全な解明には至っておらず、研究者たちを悩ませています。
「擬態」や「音声の増幅装置」、単純に「飲み込まれづらいように」などさまざまな説がありますが、いまいち決め手に欠くものが多いです。いくつかの理由が複雑に絡み合っているのでしょうか。少なくともツノゼミ全体で統一された理由はわかりません。明らかにアリやハチ、木の葉や動物のフンにまで擬態するツノゼミもいるんですけどね。
さて、どうでしたか「ツノゼミ」。おそらく今も貴方の半径100メートル以内にいるであろう身近な生き物。しかし小さすぎて見落としがちな「へんないきもの」でした。