これまで深海魚やその他深海生物を紹介してきましたが…
そういえば、そもそも深海ってなんだ?というところを詳しく紹介してなかったですね!
深海の深さの定義とは?世界&日本で一番深いのはどこ?
地球表面の約7割は海です。
地理の時間に習いましたよね?
で、この海の深さというのは、なんと平均3,800mもあるんです。
富士山が3,776mです。平均がこれですから、めちゃくちゃ深いことがわかりますね。
世界で一番深いところはマリアナ海溝チャレンジャー海淵の10,920m…
最も高い山は、ヒマラヤ山脈にあるチョモランマとかサガルマータとかエベレストとか呼ばれている山で、8,848mです。
海の底知れなさ!
(といいつつ底の深さを言っちゃってる)
日本で一番深いのは、駿河湾の2,500mです。
「深海」というと、このふかーい海の深いところだろう、と思うじゃないですか。
ところが。
深海とは、水深200mより深いところのことを言います。
浅くないですか?
桁が違うんじゃないかと思いませんか?
でも、これが「深海」の定義です。
ちなみに、深海ではない部分を浅海といいます。
深海に光は届かない?色によっても届きやすさが違う!
桁違いな話をしていたので、水深200mがものすごーく浅く感じますが…
水深200mに届く光は、水面のたった1%。
もはや光合成はできません。
水面付近の環境とは大違いですね。
水深1,000mで、届く光はほぼ完全にゼロとなります。
そのため、深海に棲む生き物は、目を発達させてわずかな光をとらえる方向か、光がなくても生きていける方向かのどちらかに進化しています。
尚、光の色によっても届きやすさが違います。
赤い光は最もよく水に吸収されやすく、青が最も届きやすい色です。
海が青いのも、このような水の性質のせいです。
海水浴などで少し潜っただけで、見えるものが青みがかってきませんか?
海底のものを水中に出して見たら、思ったより赤いと思うかもしれません。
深海の環境:水圧はどれくらい? 人間は、魚は、どこまで耐えられる?
「気圧」という言葉があります。
文字どおり、大気の圧力です。
「水圧」は水の圧力。
1気圧というのは、標高0mでかかる大気の圧力なわけですが、なんと高度10kmもの高さの空気の重さ=1cm四方に約1kgの重さがかかっています。
そう考えると結構な圧力に我々人間は耐えているような気がしてきますね。
水は大気よりはるかに重く、たった10mの深さで1気圧相当の圧力となります。
水深10mに潜るということは、10mの水の1気圧と、10kmの空気の1気圧、合わせて2気圧を体に受けるということになります。
なので、水深1,000mで約100気圧、水深10,000mで1,000気圧です。
サラッと書きましたが、100気圧のとき、1cm四方にかかる圧力というのは、100kgにもなります。1,000気圧では1,000kg。想像できない圧力です。
水圧耐性:人間は何気圧まで耐えられる?
人間が、ボンベを背負って潜れるのは、約100m、10気圧前後です。
これを超えると呼吸障害が起きてしまいます。
水圧耐性:魚は何気圧まで耐えられる?
現在のところ、水深8,500mまでは魚がいるようです。
つまり、850気圧まで耐えられるということですが、これは全ての魚がそう、というわけではありません。
こんな水圧に耐えられるのは、深海に良く適応したごく一部の魚だけ。
浅い海でくらす魚が耐えられるのは、3,000m=約300気圧 まで。
これ以上深いところに棲んでいるのは、体を深海仕様に進化させたものだけです。
強烈な水圧は、タンパク質すら押しつぶして変形させてしまうので、特別仕様にする必要があるんですね。
深海魚やその他深海生物は何を食べるの?
先ほど、深海は光が届かないというお話をしました。
これはつまり、光合成ができない=食べるものが生産されない、ということです。
海のごく表層で光合成は行われ、あとは消費されるのみ。
深くなるほど栄養は減っていきます。
深海に棲む生物たちは、上から降ってくるプランクトンや魚などの死骸・糞を食べることで生きています。
食べ物が乏しいため、少ないチャンスをものにするしくみをもつ・エネルギー消費を抑えて餌が来るのを待てるしくみをもつ、といった適応がみられます。
深海生物の栄養源:海底の熱水噴出孔
ただ、落ちてくる有機物を頼りにしている生物ばかりかといえば、そうではありません。
海底でも地上同様に火山活動が盛んな場所があり、その付近には「熱水噴出孔」というものがあります。
熱水噴出子では、文字どおり、火山活動で温められた熱水が噴出しているのですが、出ているのは水だけではありません。
硫化水素、さらには重金属を海中に放出しています。
有害そう、というより人間にとっては明らかに有害な場所です。
ところがここは、一部の生物にとってはオアシス同然。
ゴエモンコシオリエビやハオリムシをはじめとした、熱水噴出孔を利用できる生物が集まります。
彼らは硫化水素から化学反応によってエネルギーを取り出せるバクテリア(硫黄酸化細菌)と共生していますし、共生せずとも噴出孔の周りで増殖したバクテリアを食べに来る生物もやってきます。おそらくこうした生物を食べに来る捕食者もいるでしょう。