オジサンとかババアって
熱した油にブチ込むと美味しいって知ってます?
こう、皮膚を剥ぎ取って
内蔵をズルズルと引きずり出し
ズタズタに切り刻んで
衣をつけて170℃くらいの油で揚げると
美味しいんですよ。オジサン。あとババア。
(キャー、ひとごろしー)
しょっぱなから怖そうな内容ですみません。人肉じゃないデスヨ。
お魚ですよ、お魚。
「オジサン」とか「ババア(ババチャン)」っていうお魚がいるんですよ!
相変わらず生物界に溢れるクレイジーネーム。コレ、驚きなのが「ババア」は俗称ですが、「オジサン」は正式な和名であるということ。名付け親はどんな気持ちで……。その場のノリ? お酒飲みながら決めたのかな?(※失礼)
それでは所帯じみた名前の「オジサン」「ババチャン」について見ていきましょう。
・「オジサン」「ババチャン」ってどんな魚? 深海魚ってホント?
まずは「オジサン」から。
この魚がなぜオジサンと呼ばれているか、由来はシンプルです。
「オジサン顔だから」。
ハイ。ホントにそのまんまですね。ハッキリ言ってソレ以上でも以下でもないんですよ。下アゴに2本のヒゲがあるのですが、それだけではなく表情がオジサンっぽいんですよね。加えて顔が長いこと、目が小さいこともあり、魚界隈でも屈指のオジサン顔です。
「え? 呼びました?」
みたいなマヌケ面が愛らしいです。オジサンだとしても決して出世しなさそうなカンジも良し。実際に出世魚ではないし。
日本では駿河湾より南に生息。
……。だいたい静岡より南ですね!
浅い岩場やサンゴ礁に生息していますが、水深140メートルほどの深さにも見られるとのこと。
いわゆる「深海」は深さ200メートルよりも下の海なので、オジサンは深海魚ではありませんね。
分類は「スズキ目ヒメジ科ウミヒゴイ属」。
ヒメジ科の特徴はなんといってもヒゲがあること。しかも「ウミヒゴイ」ですから、まさにコイのヒゲに着想を得たであろう属名です。
しかしながら、ヒメジはヒゲがあるものの目が大きくカワイイ見た目をしています。姿だけ見るとオジサンの子供のような見た目です。それだけにオジサンのオジサンらしさが際立つといいますか……。
オジサンがゲシュタルト崩壊しますね! でもまだまだオジサンが続くよ!
・ちなみにこんなおじさんも。
ちなみにオジサンっぽい魚がもう1種類いるのですが、そちらは「ニュウドウカジカ」。通称「ブロブフィッシュ」、直訳すると「肉塊魚」。
その名にふさわしいでっぷりと太った深海魚で、体の大半が顔、団子っ鼻、不満げな形をした大きな口、と、見て頂ければわかるんですが太ったおじさんっぽい魚です。イギリスの「醜い動物保存協会」では世界一ブッサイクな生物に選出された由緒正しきおじさんです。
オジサンが「痩せたおじさん」なら、ニュウドウカジカは「太ったおじさん」。おじさん顔コンビですね。お笑いだったら売れそう。
・ババチャンはどんな魚?
ババチャンは「スズキ目ゲンゲ科マユガジ属」に分類される魚。
生息域は日本海沿岸に広く生息しているようです。
こちらはなんと、水深120~870(!)メートルに生息している深海魚なんですね。
本名は「タナカゲンゲ」、別名キツネダラとも言われていた深めの海に住む魚です。キツネダラだけあって、キツネやイヌを馬鹿っぽくした顔をしています。
ババアと言われていたのに全くババア顔じゃない……。
あー、でも性格の悪いババアみたいな顔してるかも……。
ちなみに、鳥取県では本当に「ババア」と呼ばれていました。
今では地域の取組みにより「ババチャン」と呼ばれるようになりました。
ババアを変えろよ。「ちゃん」では誤魔化せないよ。
・「オジサン」「ババチャン」の味はどんな感じ? 普通の魚?
オジサンもババチャンも、各地で普通に食べられています。
地域のスーパーや魚屋さんで扱われていて、値札に「オジサン」「ババア」って書いてあるらしいですよ? つまりこの記事は地域によっては「常識じゃーん」と思われてしまう恐れがありますね。でも負けないぞ。
・まずはオジサンから。どう食べられているのでしょうか?
肉質としてはクセのない白身魚で、刺し身やフライなどにされるんですね。沖縄では「マース煮」という、塩と少量の水だけで煮る料理にもされるようです。
また、フランス料理のポワレに非常に適しているとの情報も。皮が厚く身がしっかりしているので崩れにくく、皮の香りがとても良い……。
これだけ見たら甘辛の煮付けなんか美味しそうですね。皮と骨から良いダシが出るので、ご飯にしろお酒にしろ進みそうです。場合によってはおじさんがオジサンの煮付けでお酒を飲む……。字面がシュールですね。
・次にタナカゲンゲ……いやババアについて。
寒い時期が旬で、鳥取県の岩美町では「ババチャン鍋」として名物になっているそうです。生よりも熱を通したほうが身がしまって美味しく、骨などからは上品なダシが出るので汁物に適している、と……。
コラーゲンたっぷりのぷるぷる食感で、煮付けや唐揚げもメジャーな食べ方であるようです。
これはなんといっても鍋料理にしたいですね~! 冬が旬ということもあって、コタツでつつくお鍋といったら! ダシ+コラーゲンときたら栄養をまるごと食べられるお鍋は最高でしょう! シメの雑炊も楽しみになっちゃいますね!
・「オジサン」「ババチャン」の魚料理レシピ紹介!
オジサンとババチャンについて見ていたら、「食べてみたいな~」なんて思いませんか? まだ全国的にメジャーな魚ではないので入手できないかもしれませんが、オジサン、ババチャンでも、その他のお魚でもできる簡単な魚料理レシピをご紹介しましょう!
・オジサン対応! カタカシの煮付け
材料 (一匹分)
白身魚 1匹
醤油 大さじ1
麺つゆ(3倍濃縮) 大さじ3
みりん 大さじ3
水or(酒を半分) 200ml~
①鍋に入るように2等分し、1回魚を湯通しして臭みをとる。(必ず!)
②魚の入る鍋に魚、調味料を全て入れてぐつぐつ裏表合わせて20~25分程煮る。水の量は魚の下半分以下でOK.
③お皿に盛り付けて完成!身が崩れやすいので優しく扱ってね。今回は崩れてしまいました…。
④白身魚で基本の調味料の割合は醤油:出し汁:みりん:砂糖=1:3:0.3:0.5らしいです。これを参考にしてもOK.
⑤青魚だと1:1:0.3:0.6。鯛などの白身は、旨みが少ないので出しを取るための汁物より煮付けが向いているそう。
⑥鯛でも美味しくできました☆ やはり味が淡白なので味付けはしっかり目が良いかも。
※Cookpadより引用
・鳥取県公式! ババチャン鍋のレシピ!
【材料】(2人分)
・ばばあ…1匹
・白菜…4枚
・長ネギ…1本弱
・豆腐…半丁
・春菊…3分の1束
・えのき… パック
・しいたけ…2枚
・くずきり…適量〈だし〉
・水…1200cc
・かつお節…適量
・昆布…適量
・薄口しょうゆ…100cc
・みりん…100cc
・化学調味料…微量【作り方】
(1)ばばあのぬめりを金たわしでしっかりと落とし、内臓、頭を切り落とし、3枚におろす
(2)(1)を適当な大きさにぶつ切りにし、熱湯をくぐらせ冷水でしめる
(3)昆布、かつお節でだしをとり、しょうゆ、みりんを加える
(4)(3)にばばあを入れ、一煮立ちさせてから、適度な大きさに切った野菜を入れて煮る
※鳥取県公式サイト「とりネット」より引用
レシピに「ばばあ」の文字が多すぎる!! 鳥取県公式とりネット!!
いや~スタンダードに美味しそうですねー! 個人的にはうどんも欲しいです!
「オジサン」「ババア」ともに名前の割りにスーパー美味しそうなお魚でしたね~。
もしも手に入る地域にお住みでしたら探してみてはいかがですか?