時速60kmものスピードで、海から槍が飛んでくる…
嘘みたいな話ですが、実際亡くなる人も出ているんです。
ダツ・オキザヨリってどんな魚? あの飛ぶ魚も親戚だった!
こちらが今回の主役。
ダツ目ダツ科
ダツ
Strongylura anastomella
オキザヨリ
Tylosurus crocodilus crocodilus
ダツは100cmほどになる魚で、朝鮮半島や北太平洋の温帯域に生息。日本では北海道のオホーツク海と琉球、小笠原諸島を除く全国でみられます。
オキザヨリは大きさは130cmにもなるダツの仲間で、中国沿岸、西太平洋の熱帯〜温帯の沿岸に生息しています。日本では津軽海峡より南の沿岸域でみられます。
タイトルで「殺人魚」と書かれている魚が、けっこう身近にいるんですね。
細長く、銀色に輝く体です。
長く尖った口には、鋭い歯がずらりと並びます。
凶悪そうな顔をしています。
英名はNeedlefish。名前も怖い。
こいつが突っ込んでくるわけです。
ダツ目の魚たち:サンマとトビウオと、まさかのメダカ!?
ちなみにダツ目ですが、この中には身近な魚が含まれています。
それは…
サンマ (ダツ目サンマ科 Cololabis saira)
似てませんか?似てますよね。
そして…
トビウオ (ダツ目トビウオ科 Cypselurus agoo agoo)
さらに!驚くなかれ(いや、やっぱり驚いて!)…
メダカ (ダツ目メダカ科 ミナミメダカ Oryzias latipes)
め…めだか!? そうです、あのメダカです。
嘘だと思ったら、よーーーーーく見てみてください。
ちょっとしゃくれたところとか、全体の雰囲気とか(オタクな方々はヒレとかその他もろもろも)どことなく、ああ親戚なんだな…と感じさせませんか?
あ、忘れてた。
あとサヨリを含む、サヨリ科がありました。
サヨリ (ダツ目サヨリ科 サヨリ Hyporhamphus sajori)
そっくりですね。
むしろ同じ科じゃなかったんですね。
ダツ・オキザヨリがダーツになる事故は、生態が原因 (1)
ダツは、水面近くの表層を泳ぎ、小魚を捕まえて生きています。
獲物の小魚を捕らえるときには一度水面から飛び出してから襲います。
というのも、光の反射・屈折の関係で、水の中から水の上というのは見づらくなるんです。水中からでは距離を取られてしまいやすいですが、突然水面を割って襲えばほとんど不意打ち状態になります。
ダツは、外敵から逃れる際も水面から飛び出します。
水中から水の上が見づらいのは、相手が獲物でも天敵でも同じですからね。
ダツ・オキザヨリがダーツになる事故は、生態が原因 (2)
ダイビングをしている人だけでなく、船の上や港などの陸上にいてもダツが飛び出してきて事故に遭うことがあります。
で、ダツによる事故が起きる原因なんですが…
この事故というのは、夜ライトを照らしているときに起こります。
そのため、この2つの原因が考えられます。
・ダツが小魚の輝く鱗を狙うので、光めがけて突進する
・光でダツが驚いて飛び回った先に人がいた
結論からいうと、どうやら光で驚いたダツが飛んだ先にたまたま人がいて事故に遭ってしまう、というのが有力です。
ダーウィンが来た!の海の危険生物回では、ライトをおいておくだけではダツは突進してきませんでした。暗闇を突然光で照らした際にダツが飛び跳ねる様子が見られましたが、光の方向に向かうのではなく、方向はランダムな様子。
なので、ダツは人(光)を狙って飛んでくるわけではなく、驚いて飛んだ先にたまたま人が…ということなんですね。
夜に海にお出かけの漁師の方、釣り人、ダイバー、その他の皆さま、海面をいきなり光で照らさないよう、お気をつけください!
(とはいえ、ややどうしようもない感がありますね!どうしても心配な場合は、全身鎖帷子:くさりかたびら で装備しましょう!)