動物に感情はあるの?
あるに決まってる?じゃあミミズやイソギンチャクは?
動物の行動を観察するとき、感情移入はよくないかも?
おうちのペットをかわいがるときなんかに、感情移入するのは良いと思います。
でも、この動物はどうしてこういう行動をしているのかな?と考えるとき、理科の授業やレポートを書くとき、夏休みの自由研究、大学などのより高度な研究で、感情移入はよくないんです。
まず、ヒトとそれ以外の動物とでは、インプットできる情報が違います(まあヒト同士でも、同じ種類の動物でも、多少個体差はあるんですが)。
「紫外線」「赤外線」は、ヒトの目では知覚できない光の波長のことを指していますが、これらを見ることができる動物もたくさんいます。逆に、ヒトより見える色が少ない動物もいますし、そもそも光に頼らない生活をしている生き物だっています。
見える色の広さだけでなく、視力も動物によりけり。音や臭いなどの感覚も同じです。犬はヒトより見える色が少ないけれど、嗅覚はとても敏感ですよね。
私たちヒトは恒温動物ですが、外気温に体温が影響される変温動物の温度感覚など、想像もできません。
インプットできる情報が似通っていたとしても、
草食動物と肉食動物、天敵が多い動物と、生態系の頂点に立つ動物で、おそらく注目する情報が違います。
こんなふうに、動物たちとヒトとでは、
見える世界が違う
んですね(見えるというのは知覚できるという意味で)。
なので、動物に感情があるとしても、ないとしても、
少なくとも、「何に反応して行動しいているのか?」
の答えは思ってもみないところあるかもしれません。
そう、思っても見ないところにあるかもしれないんです。
だから、研究観察するときは感情移入はNGなんですね。
ただ、仮説を立てるところまでは感情移入はOKです。
この動物が○○しているのは××だからなんじゃないのか?
というアイデアの源になるからです。
ヒト同士でもヒトによって文化によって、同じ情報に違う感情を持つことがあります。ましてや違う種類の動物をや、です。感情は置いておいても、違う行動を見せる可能性は十二分にあります。感情があるとしたら、ヒトにあって他の動物にない感情があるかもしれませんし、その逆もありえます。
動物を見る時はこういったところまで考える必要があるかもしれません。
動物に感情はある?ない?
そもそも「感情」の定義は何でしょうか。
感情(かんじょう)とは、ヒトなどの動物がものごとやヒトなどに対して抱く気持ちのこと。喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などがある(感情の一覧)。
改めて調べてみると、不思議ですね。身近なはずなのに、なんだかよくわからないですね。
気持ち=心の状態
とするなら、脳で何か起こっていれば良いのか…いやそういうことでもないのか…こころって何なのでしょうか。難しい…
このあたりの議論は泥沼な気もするのでいったんおいておきましょう。
結論から言うと(すでに前置きが長かったですが)、動物に感情はあるようです。近年マウスで感情関連の研究がされています。そうすると哺乳類には感情はあるとみて良さそうです。動物と言ってもクラゲやイソギンチャク、昆虫…と広いです。どこからどこまでの動物が感情を持っているかはよくわかりません。
イソギンチャクはつついたらしぼみます。ただ、それだけのような気もしてしまいます。イソギンチャクは脳も持っていません。
動物の感情に関する研究は、今まさに進んでいるところで、どの動物が感情を持っているかだけでなく、喜怒哀楽すべて持っているのか、ひょっとしてヒトと異なる感情を持っているのでは、といった点、多くが未だ謎に包まれています。
「昔は動物には感情などなく、ただ刺激に反応する機械のようなものだ」などと言われたものです。
この考え方は、西欧のキリスト教的な考えから来ていると聞きます。人間は特別。
科学の始まりも西欧ですから、動物の行動を観察するのにこのような前提で観ていたのはある意味自然なのかもしれません。
観察する際、そんな「機械」に名前をつけて識別することすらご法度でしたが、日本人研究者が猿に名前をつけて研究したところ彼らにも個性があることがわかった…なんてこともあります。今となっては当然じゃんと言いたくなりますね。
他にも、細胞の研究に関しては、すべての生物は同じような細胞の集まりでできているから、大腸菌を研究するのもヒトの細胞を研究するのも同じ、的なものもあったようです。調べてみたら、大腸菌とヒトの細胞は全然違ったというオチがあったのですが…(大腸菌は原核生物、ヒトは真核生物に分類されます。ここでは割愛しますが、構造も類縁関係も全然違います。)
感情豊か?動物の面白い行動!(興味深い方の!)
面白いというのは、「ウケるwww」というものの他に、「興味深い」がありますよね?
どっちも、もよくありますが。
今日は後者を目指していきたいと思います。
あまり解説はしませんが、その動物がどんな世界を見ているのか、彼らが生きる上でどう役立つのか?考えながら見るともっと面白い(興味深い)でしょう。
▽オウムの知能の高さがうかがえる動画
「アーーーーーーーーッ!!!!」
ウケるwww
ご、ごめんなさい、いきなりウケる系っぽいですが、音響の効果と自分の行動の関係を理解してやっているようですね(そうしているように見えますね)。
まあでもウケる方も、とっかかりとしては大事ですよね。こういうのがないから理科離れとか言われるんですよきっと。
ちなみに「funny bird」と検索すると面白い鳥がたくさんでてきます。
▽ダンゴムシの迷路
ダンゴムシは障害物にぶつかると、左右交互に曲がります。
▽言わずと知れた、カッコウの托卵
▽粘菌が迷路を解く
脳も持たない生き物ですが、餌までの最短経路を選ぶことができます。記憶力もあるとか…不思議ですね。
粘菌ちゃんには森などで会えます。いろいろな種類がいます。
▽鳥の「刷り込み」
これも有名ですね。
コンラート・ローレンツはニコ・ティンバーゲン、カール・フォン・フリッツとならんでノーベル賞受賞者で、動物行動学の開祖的なお方です。
ちなみに、このころ提唱されていた「動物は種の保存のために行動する」というような論理(種の存続のために個体が自ら犠牲になる)は現在は否定されています。