えー、「強い動物」というのは枚挙に暇がないトピックでございますが。
大きいほうが強い、
重いほうが強い、
毒を持ってるほうが強い……。
などなどいろいろな視点から語られつづける永遠のテーマの一つ。
極真空手の創始者である大山倍達氏は、
「人間はライオンに勝てない。
ライオンはゾウに勝てない。
ゾウもグンタイアリにはかなわないだろう。
だからアリを食べてしまうアリクイが最強 だ」
と語ったエピソードが……。
強いってなんでしょうね。
今回紹介するこいつは「強い」でしょうけど。
「クズリ」(Google画像検索)。
この……なんでしょうね。見た目からピンとこない動物ですケド。
クマ? タヌキ系? 顔怖すぎない?
よくわからないでしょう? 日本人には身近ではないですからね。
しかしこの一見地味な動物が驚くほどのスペックを秘めているのです。
さあ、小さな悪魔、「クズリ」について見てみましょう。
・ゴールデンカムイに出演「クズリ」。その生態や生息地は?
「クズリ」。
英名を「Wolverine(ウルヴァリン)」といいます。
この「ウルヴァリン」という名前でピンとくる人もいるのでは?
そう、アメコミ「X-メン」に登場するヒーロー、
「ウルヴァリン」の元ネタはコイツなのですよ。
まあそんだけですけどね!
別にウルヴァリンはクズリ要素強くないですし!!
このクズリ、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧から樺太のあるロシア極東部、北米の北のほうなど高緯度の寒い地域に広く生息しています。
日本に縁がないだけで世界的にはけっこうメジャーなんですね。アメコミヒーローの名前に使われるんだからそれもそうか。
体長は60~100センチほど、
体重は10~30キログラム程度。
主に夜行性で雑食。小型の哺乳類や鳥の卵を食べていますが、果物なども食べます。大きな前足とツメのおかげで木登りも得意。
寒い地域に生息しているからか、足が特別な能力を持っています。クズリの足は平べったく大きいので、かんじきのように雪に埋まりづらい、雪上でも歩きやすい構造になっています。食料の少ない冬でも狩りが上手なんですね。
そしてクズリ最大の特徴……特徴というかなんというか……。
めっちゃ性格が荒いです。
クズリは上記した通り北米や北欧に住んでいますが、冬は環境が厳しく、動物たちは食いだめしたり、冬眠したりして冬をやり過ごしていきます。草食動物は木の皮なんかを食べ、春の訪れを待ち……。
しかしクズリはそんなに気が長くありません。
ときにはヘラジカ(最大3メートル、800キログラム)すら
狩りの対象にします。
クズリはその頑丈な顎とツメ、さらに一日中でも獲物を追い回すスタミナ、先述した雪上に適した足なども駆使してシカやヒツジ(の仲間)、北欧最大級の動物であるヘラジカすら攻撃するのです。
しかしクズリは最大体重が30キロ程度。100キロを超えることも多いシカなどの大型動物を狩るときは当然かなりの苦労を
しません。
樹上から狙いを定め、獲物の首、すなわち延髄のあたりを大きく頑丈な顎で破壊します。一発入ればこっちのもの、動けなくなったところをゆっくりと解体するのです。
獲物が最大級でなければ、多少大きくても背後から飛びかかって引きずり倒してしまう運動能力も持っています。つ、つよい。
しかしそこらにはオオカミやコヨーテ、挙句の果てにはクマという
肉食動物として数や体格でかなわないような相手がウヨウヨ生息しています。
むしろクズリはそいつらの獲物を横取りします。
単独で。
他の肉食動物が取った獲物にズカズカ近づき、凶暴に突っかかって数匹程度なら一方的に追い払ってしまいます。いくら強力な身体能力があるといっても戦ったら負けることもあると思うんですけど……。
しかしクズリは(飼育下ですが)ホッキョクグマとタイマンして殺した記録があります。体重何倍差なんでしょう、ナチュラル・ボーン・キラーかよ。
こんな手に負えない暴れん坊のクズリ、いったいナニモノなんでしょうか?
答えは次項!!
45年程前にNHKでアラスカの動物を紹介する番組を放映していた。冒頭でプロの猟師が仕掛けた罠をスノーモービルで見て廻るのに取材班が同行したら、最初の獲物がクズリだった。番組ではウルヴァリンと紹介されていた。イタチの仲間だが大きく非常に狂暴で危険な動物と学者が言っていた。トラバサミに後ろ足を鋏まれたクズリは猟師が近付くと牙を剥いて威嚇した。猟師はライフルでクズリを射殺した。毛皮を取ると説明していた。動物図鑑でクズリの事はある程度知っていたが、このウルヴァリンとクズリが同じ動物と知ったのは、映画X-Menが公開されてからだった。いやはや長い年月かかったものだ。