東京湾の最強ボクサー「シャコ」。ガラスにヒビを入れるパンチ力の仕組みとは!?

 

 

 

お寿司でなに食べます?

 

 

 

 

レインコートとかガレージとか……。

 

 

あ、レインコートはカッパ巻き、ガレージはシャコのことです。

 

 

ザッツ・古いジョーク。(ホントに昔こういうジョークがあったんですってば)

 

 

 

 

 

と、いうわけでもありませんが今回のテーマ「シャコ」

 

 

 

 

寿司ネタとして有名ですよねシャコ。

 

 

 

他ではあんまり見ないですが、世間的なイメージは「エビみたいなやつ」だと思います。実際に生きている姿を見る機会も少ないですしね。

 

 

味はカニとエビの中間みたいな……ちょっとカニよりですかね?(※個人差があります)

 

 

そんな「甲殻類の三番手」感があるシャコ。

 

美味しいだけでなく「驚異的なスペック」を持った生き物だということは知っていましたか?

 

 

 

「食べたことはあってもよく知らない生き物」、シャコについて見ていきましょう。

 

 

 

 

・シャコは水中最強のハードパンチャー。そのパンチ力を生み出す構造、仕組み。

 

 

シャコは「口脚目シャコ科シャコ属」に属しています。

 

 

 

 

「口脚目」は通称シャコ目。シャコの仲間が多く属しており、

実はカニやエビとは全く違う分類の生き物になります。

 

 

 

カニやエビは「軟甲網真軟甲亜網ホンエビ上目十脚目」に属していますが、

シャコは「軟甲網トゲエビ亜網シャコ目」なので、

けっこう深い段階で違う生物なんですね。それなのに味が似ている……。

 

 

 

 

まあセミはエビ味って言いますしね。

そういうこともあるんでしょう。

 

シャコの大きさは最大で20センチくらい。

それを踏まえて、驚異的なシャコのパンチ力についてお話しします。

 

 

・シャコのパンチ力を生み出す「捕脚」。最強のパンチはデコピン!?

 

シャコには鎌のような形状の「捕脚」があります。

マンティスシュリンプ(カマキリエビ)という英語での呼び名もこの捕脚から来ています。

 

 

シャコはこの捕脚を使って攻撃や威嚇を行います。この動作がパンチっぽいんです。この破壊力は想像を絶します。

 

 

シャコはカニやエビなどの甲殻類、魚や貝、ゴカイなど色々な動物を食べるのですが、捕食時にもこの捕脚が使われます。

 

 

 

 

なんと、甲殻類や貝などはこのパンチで殻をブチ抜きます。

 

 

 

 

貝を見つけるとバチンバチンと何発もパンチを繰り出し、貝殻を粉砕。そして中身を食べる……。

 

 

なんかもう……いっそ清々しいレベルでゴリ押しですね。

 

 

 

 

 

 

そんな強力な武器である「シャコパンチ」

 

 

 

 

 

 

その秘密は「捕脚の構造」にあります。

 

 

 

しかしながら細かく説明すると本が論文が書けてしまいますので、シンプルに説明したいと思います。

 

 

突然ですが、デコピンしてみてください。中指で。

 

中指を親指でホールドしますよね。

 

この親指ホールドをしないで中指を動かしてもデコピンの威力は生まれないですよね。

デコピンに大事なのは、力を蓄えられる「親指」なのです。

 

 

シャコの捕脚にはこの親指のような「留め具」があり、

パワーを蓄えて開放することで超破壊力を実現しているのです。

 

 

 

次項ではさらなるシャコパンチの秘密が!

 

 

・ガラスにヒビを入れるシャコパンチ。だけどどうしてシャコの手は無事なの?

 

 

 

シャコは臆病な生き物です。

 

 

 

 

砂泥などに巣穴を掘り、そこからほとんど出ることはありません。

 

食事も産卵も、排泄すら巣穴で行います(排泄物は外に出すけど)。

 

飼育下でも、巣穴がないとエサも食べずに死んでしまいます。巣穴第一なんですね。

 

そんなシャコですが、たまに網にかかったりすることがあります。このとき素手で取り扱おうとした漁師さんの指を骨折させたり、ダイバーが興味本位で触ろうとしてツメを割られたりなど、パンチ力の武勇伝は枚挙に暇がありません。

 

しかしながら、作用には反作用がついて回ります。

そんな強力なパンチを打って、なぜシャコの捕脚は無事なのでしょうか?

 

 

この捕脚、実にハイテクな機能が組み込まれているのです。大自然ってすげー。

 

 

まず、捕脚の中には筋繊維がぎっしり詰まっています。これはクッションの役目を果たします。シャコ側にくるダメージを軽減しています。

 

さらに特徴的なのはその外装。甲殻類や貝の殻を破壊できるのですから、それらより強い装甲が無くてはならないですよね。

 

そのためシャコは「ヘリンボーン構造」という、長方形をV字型に組み合わせる衝撃に対して強い構造で作られています。

 

シャコ研究から見つけられたこの構造は現在、ヘルメットやヘリコプターなどの素材に技術転用するべく研究が続けられています。

 

 

「筋繊維クッション」「ヘリンボーン殻」この2つを持つシャコですが、飼育下ではパンチのしすぎで捕脚がボロボロになってしまうこともあります。

 

 

こんなにハイテクを駆使してもダメージを負う……。シャコパンチのスゴさがまた1つ明らかに。

 

 

しかし、次項で紹介する要素が「シャコパンチ最大の衝撃」。ごらんあれ。

 

 

・あまりの速度に海水が沸騰!? スゴすぎるぞシャコパンチ!

 

 

 

「キャビテーション」という現象があります。

 

 

 

どういうものかというと、水中でものすごいスピードの圧力がかかったとき、水が沸騰状態になり気泡が生まれることです

(※ものすごーくシンプルに説明しています。本当はもっと複雑です。あしからず)。

 

 

なんでも高速船のスクリュープロペラが回転が速すぎてキャビテーションが発生したときに明らかになった現象らしいです。気泡が生まれるので上手に水をかけずに思ったほどスピードが出なかったんだとか。

 

 

さて、まさかなんですが。

 

 

シャコパンチはキャビテーションを発生させます。

 

 

 

 

「水中で水を沸騰させるほどの

 スピードのパンチを繰り出している」のです!!

 

 

 

 

 

 

なんだこの甲殻類は!!

 

そりゃ殻なんて叩き割るわけです。

 

 

 

 

ただ、なんでしょうね。

 

 

他の生き物がアゴをパワーアップさせたり、毒を使ったり……色々な方面で効率的に生きるために進化してきたはずなんですけど。なぜシャコはこんなゴリゴリのゴリ押しを選んだのか……。それも自分すら傷つくパワーを……。

 

まだまだそのパンチの謎は解明され切っていないのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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