動物は性格が良いと思ったら大間違い!?性格が悪い馬が出てくるノンフィクション

動物は純粋で性格が良いイメージがありますが、皆が皆そうだと思ったら大間違い!

今回はノンフィクション作品を紹介するので、実在した性格の悪い馬のお話です。

性格が悪い馬!?「シービスケット」という名前の競走馬を中心とした物語

今回ご紹介する作品はこちら、

「シービスケット–あるアメリカ競走馬の伝説」
Laura Hillenbrand (著)、奥田 祐士 (訳)

性格悪い馬と言いつつ結構感動系のお話でございます。
本の表紙もカッコイイです。映画化もされてます。

世界恐慌時代のアメリカが舞台です。
(シービスケットが活躍したのが1930年代)

・競走馬シービスケット
・馬主で自動車王ハワード
・調教師トム・スミス
・騎手ポラード

の1頭と3人が主だった登場人物で、いずれも何かしら不運な過去を持っています。(人間の話は割愛します。作中でお楽しみください!)

まず馬がパッとしません。
シービスケットは小柄でずんぐりした体型。その上膝が曲がっており、とても一見名馬とは思えません。競走成績も、初出走から負けなしで勝ち上がるというような、華やかなものではありませんでした。

そんな馬が大きなレースで勝利するようになり、有名馬とマッチレースも実現させていきます。世界恐慌で暗い時代、もともとそんな馬だったために、庶民に希望を与える存在になったのでしょう。

…しかし。
シービスケットも、騎手も、ともに事故などで重傷を負うことになります。

そこからの復活劇が、まさに「事実は小説より奇なり」。

馬作品「シービスケット」のみどころ1:馬と人が心を通わせる描写

ざっくりしたあらすじは上記の通りで、これだけでもなかなか面白いですよ。
しかし注目すべきは他にもあります。 馬と人の心理描写 です。

まず、閉ざされたシービスケットの心がポラードらとの交流で解氷していく様子。

そして、怠惰だったり他の馬をからかう様子。これですよ。性格悪いところは。

怠惰×性格が悪い競走馬

基本的にシービスケットは練習嫌いです。怠惰です。走らなくて良いのなら、ぐうたら、食っちゃ寝の生活をします。おかげで引退後はバターボールと呼ばれてしまうほどに太ったと言われています。

走れば他の馬の心を折る

いざ走ったとなれば、さすがに名馬と言われるだけあって、ふつうの馬は勝てません。

そこで。

シービスケットは、相手の馬を抜いた後、少し速度を緩めます。すると相手の馬は次第に近づいてくるシービスケットを見て、追いつける!と思うわけです。

頑張って追いつき、並びかけ、追い抜ける…という瞬間にシービスケットは速度を上げ、もはや到底追いつけないところまで突き放します。

ガッッッカリ…

ではないでしょうか。馬の心は。
筆者が馬だったら、レースは仕方ないとして、シービスケットは一緒に練習したくないタイプです。

馬というとやさしい動物のイメージでしょうか?それとも暴れ馬的な激しいイメージ?シービスケットはどちらとも違う知的なものを感じさせますね。

不遇の境遇から活躍して人気を得たこととも共通かもしれませんが、こんな風に性格悪い部分もあるというのは親しみが湧きませんか?え、湧かない?そうかなぁ…

馬作品「シービスケット」みどころ2:レース中の臨場感

通常レースは見る側としては遠くから見るばかりで、騎手や馬がどんな景色を見ているのかは想像するしかないのではないでしょうか。

この作品は騎手にもインタビューして描いているので、そのあたりがまるで自分が鞍上にいるかと錯覚するほどにリアルです。

スタートのゲート、近くの騎手とのコミュニケーション、前の馬の足が衰える瞬間を捉えようと虎視眈々と狙う目、刻一刻と近づいてくるゴール、などなど…

「シービスケット」映画版:主演はスパイダーマンでおなじみトビーマグワイア

ここまで本の方について書いてきましたが、映画もおすすめです。

かなり長い物語のためさすがに映画では割愛されている部分が多々ありますが、上記のみどころポイント「馬と人が心を通わせる描写」「レース中の臨場感」はばっちりおさえていますので、ご心配なく。

特に本の方は登場人物(馬も含め)がかなり多いので、一度読んだだけでは把握しきれないかもしれません。しかし同時に2度3度読むとより深みが増す作品でもあります。

映画→本 がスムーズかも。どちらにしろ、どちらもおすすめですよ!