日本遺伝学会が、これまで使われてきた用語「優性」「劣性」を「顕性」「潜性」に変更するそうです。
ではそもそも優性・劣性とは何だったのでしょうか?どうして変更されたのでしょうか?
似た言葉に「優生学」がありますが、これは関係しているのでしょうか?
遺伝学用語「優性」「劣性」の意味と印象・「顕性」「潜性」への変更理由
遺伝学における「優性」「劣性」というのは、生物学を学んだ人なら馴染みがあってその意味もよくご存じでしょう。生物学では常識と言っても良い単語です。
私たち人間を含む生物は、両親から遺伝子を受け継ぎ、1対の遺伝子を持っています。
同じ形質を決める1対の遺伝子があったとき、形質が現れるものを優性、現れないものを劣性といいます。
例えば花の色を決める遺伝子A(赤い花)とa(白い花)があり、Aが優性・aが劣性とします。すると、Aaを持つ個体の花は赤となります。白い花が現れるのは遺伝子型がaaのとき、AAの場合は赤い花です。
優性・劣性というのは形質の現れやすさという意味で、生存に有利かどうか・優れた遺伝子なのか(優れた、の意味はひとまず置いておきます)については無関係です。
※優性・劣性といっても、100%どちらかの形質はならない場合もあります。A’(赤い花)とa’(白い花)の遺伝子で、A’a’で現れる形質はピンク、など。
しかし、生物学を知らない人が持つ「優性」「劣性」という言葉への印象というのはどうでしょう?使われている漢字から、「遺伝子が優れている」「遺伝子が劣っている」というものになってしまいかねません。
遺伝病を抱える人が劣性遺伝疾患などと言われると、遺伝子が劣っているのではという誤解を持ってしまったり、病気でなくても優性・劣性は様々な形質でみられるものですから、あらぬ誤解が発生していたのかもしれません。
これが、用語変更の理由でしょう。
「顕性」「潜性」の方が、用語の意味を想像しやすいといえると思います。
↓ 続いては「優生学」(と、ハゲ遺伝子について!)