土用の丑の日って「う」のつく食べ物を食べる日らしいですよ。
別にウナギじゃなくていいんですって。
理屈としてはかなり暴論ですけどね。牛乳(ぎゅ「う」にゅ「う」)でもいいのかって話ですし。牛丼OK・カツ丼NGもよくわかんないですし。
夏をスタミナで乗り切ろう! と言えばウナギの蒲焼き。脂ギッシュ。
皆さん、ウナギ食べてますかー。
最近、絶滅危惧種に指定されちゃいましたねー。
でもフツーに売ってますよね。最近牛丼屋でもウナギ食べられますし。スーパーで「食べられなくなる前に!」みたいな売り文句で山盛り陳列されてたり。
そんなわけで今回は「フツーに食べてるけどいいの?」系生き物
「ウナギ」について見てみましょう!
来年も食べられるのかな!?
・絶滅危惧種に指定されたっていう「ウナギ」。原因は? レベルってなんだ?
まず、ウナギは「ウナギ目ウナギ科ウナギ属」に分類される魚類を指します。
その中には「ニホンウナギ」「ヨーロッパウナギ」「アメリカウナギ」などがいて、
日本に生息しているものは「ニホンウナギ」「オオウナギ」「ニューギニアウナギ」の3種。また現在ではウナギの減少によって放流された外国産のウナギも分布しています。
そして、ニホンウナギは2014年に
国際自然保護連合から絶滅危惧種(EN)に指定されました。
いやー、大変ですねー。
……え? よくわかんない? EN?
ハイ、ワタシもよくわかっておりません。
なのでちゃんと調べてみました。
まず、国際自然保護連合(IUCN)は
絶滅しそうな動物の一覧を「レッドリスト」という形でまとめているのですが、その中にはレベルがあるのです。以下に一覧を。
EX:絶滅
EW:野生絶滅(飼育下にしかいない)
CR:深刻な危機
EN:危機←ウナギはここ
VU:危急
NT:準絶滅危惧
LC:低懸念
DD:データ不足
NE:未評価
意味はまあ書いてある通り。ニホンウナギはこの中のEN、つまり「危機」に指定されました。
国際的に「ウナギは絶滅の恐れがあるよ!」と言われちゃったわけです。困った。
ちなみに、レッドリストは国際自然保護連合が作っているものだけでなく、各国が独自に作成するものもあります。
日本では環境省がレッドリストを作成・公開していますが……。
エクセルファイルをダウンロードさせるのはやめてくれ環境省!
Webページで手軽に読めるようにしてくれ!
だから絶滅危惧種の知名度が上がらないんだよ!(社会に対する怒り)
失礼、取り乱しました。
環境省のレッドリストでも2013年からウナギはEN。
いよいよ絶滅が見えてきたんですかねえ……。
・絶滅危惧種指定の原因は?
まず乱獲ですね。獲りすぎ。
日本だけでなく世界中で食べられているウナギですが、
ヨーロッパウナギもレッドリストに載っています。
危険度はCR(深刻な危機)。
ニホンウナギよりレベルが上です。2009年にワシントン条約で国際取引を規制されました。
つまり、輸入してヨーロッパウナギを食べていた国もウナギ不足。となれば規制されていない他のウナギがそちらに輸出されるのも当然……。
代替としてアメリカウナギが注目されていますが、そちらも規制こそされていないものの絶滅危惧種としてレッドリスト入りしています。
そして護岸工事などによる生息地の減少も、ウナギの数が減った原因。
ウナギは物陰を好み、土に潜って生活することが多いので護岸されてしまうと住みにくくなってしまいます。ましてやコンクリートなどで固められてしまってはエサとなる貝やカニも減少するでしょう。ウナギにとっては住み家から締め出されるようなものです。
・絶滅危惧種ウナギに対する対策。養殖方法、ワシントン条約の保護。
さて、そんなわけで世界的にウナギはピンチ!
「絶滅したらえらいこっちゃ」と世界中で心配されていますが、
具体的にはどのような対策が行われているのでしょう?
・完全養殖の実用化
現在食べられているウナギの多くは「養殖」ですが、その養殖方法はあんまり保護にならないんですよ。
今、行われている養殖は、ウナギの稚魚である「シラスウナギ」を獲り、それを成長させてから食べる、というもの。いわば未来のウナギを獲って食べているわけですから、ウナギ減少の根本的な対策にはならないですよね。
そこで研究されているのがウナギの「完全養殖」です。
完全養殖とは「受精卵を人工的な環境で孵化」させ、大人のウナギまで育成し、そのオスとメスから人工受精、再び受精卵を孵化……という、生まれてから次世代を残すまで全てを人工的にこなすことです。
しかしながらウナギの完全養殖は大変!
生まれたてのウナギは非常に弱く、毎日水換えをしてあげないと雑菌で死んでしまいます。
さらにエサも特殊で、あるサメの卵を原料にしたエサでないと食べない……。
お前ら野生でどうやって生きてきた?
いや、それがわからないから養殖の研究が難しいんですけれども……。
そんな中、2010年に完全養殖に成功したのが
「水産総合研究センター」。
まだ安定して供給できるほどではないものの、
2020年には「年間10000尾」を完全養殖することを目標にされているとのこと。
ガンバレ!
独立行政法人水産総合研究センター!
・ワシントン条約による規制・保護
ワシントン条約って結局なによ?
という方もいらっしゃると思うので(5分前の自分とか)サラッと説明をば。
ワシントン条約の本名は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。
貴重な動物の絶滅を防ぐために、国家間での取引を規制する条約です。
先述したとおり「ヨーロッパウナギ」はこの条約によって国際取引が規制されています。
成魚のウナギはもちろん、養殖用のシラスウナギの多くも輸入に頼っている現状。
ニホンウナギがワシントン条約で保護されれば日本のウナギ産業は大ダメージでしょう。密漁・密輸も増えるかもしれませんね。
・絶滅危惧種であるウナギを食べるって大丈夫なの? これからも食べられるの?
さて、ウナギにまつわる諸々を見てきましたが、ちょっと考えさせられる内容でしたね。
ですが需要はなくなりません。かつてアメリカには禁酒法時代と呼ばれる時代がありましたが、アルコール類を禁止されて空隙を埋めたのは密造酒でした。呑みたい人は呑みたい、食べたい人は食べたいのです。
絶滅危惧種になったウナギですが、
食べてもオッケーです。
なぜならば「国際自然保護連合のレッドリスト」も、「ワシントン条約」もウナギを食べることを禁止できないからです。
これらには法的な拘束力がなく、漁師、釣り人、養殖業者、流通業者、鰻屋さん、そして消費者である我々にウナギ食を止めさせられないのです。
ウナギが禁止になるとすれば日本の法律や国際法によってウナギ関係の罰則が定められたとき。それまでは大手を振って食べることができますよ。
ただ……、私は食べないことにします。
いつかウナギ釣りというのをやってみたいので、それまでは絶滅とか許可がないと釣れないとか、そうなって欲しくないんですよね。
「絶滅を防がなきゃ!」とか「レッドリストだから!」って志を高くしなくても、こうやってなんとなく守ることもいいんじゃないかな、と思ってる次第です。