「幻の白いオオカミ」とも呼ばれるホッキョクオオカミ。
人を寄せ付けない極寒の地に住むオオカミたちの暮らしが明らかにされました。
「幻の白いオオカミ」ホッキョクオオカミの生態・生息地・大きさ
和名:ホッキョクオオカミ(シンリンオオカミの亜種)
学名:Canis lupus arctos
英名:Arctic wolf
ホッキョクオオカミの大きさは、
体高70cm前後、体重40-80kg。オスの方が大型です(たいていの哺乳類もそうですが…)
ホッキョクオオカミの生息地は、北極点も間近な北緯80度付近、カナダ北部のエルズミア島などの島やグリーンランド北部。気温は-50℃にまでなります。
ここで暮らせるのは、ジャコウウシ、ホッキョクギツネ、ホッキョクノウサギのような寒さに適応した生き物だけです。
高緯度のために4〜8月まで白夜となり、太陽が1日中沈みません。この時期は雪が溶け、動物たちの繁殖シーズンとなります。
厳しい環境のため、ホッキョクオオカミの生態についてはわかっていないことが多く、「幻の白いオオカミ」とも呼ばれます。真っ白な長い毛に覆われた姿はなんだか神秘的で、幻の名もしっくりきますね。
オオカミは巣穴を掘って子育てしますが、地下には永久凍土が広がり、巣穴を作ることができる場所は非常に限られます。少し土が盛り上がっている場所や岩場などを選んで巣穴を作ります。
群れの中で繁殖できるのは群れの順位の頂点に立つ雌雄1ペアのみ。繁殖しない個体も協力して子育てを行います。
獲物が少ないこの地では、より低緯度なシカなどの獲物がいる地域に比べ縄張りの面積は10倍以上にもなります。
1つの群れの縄張りは80キロ四方(東京都3つ分)にまでなったという記録があります。
そのため若いオオカミが新たな縄張りを持つことは容易ではありません。
他の群れの縄張りにこっそり巣を作ることもあるようですが、見つかれば命はありません。
ホッキョクオオカミの寿命は10年以上ですが、5年以上生きることは稀だといいます。ホッキョクオオカミの最大の敵は同じホッキョクオオカミ。縄張り争いで命を落とすものが多いのです。
群れの中にいても、群れは序列がある厳しい世界。序列の低いものは食べ物にありつく順番も最後です。栄養失調で衰弱して死亡する個体もいます。
こんな厳しい世界に生きるホッキョクオオカミですが、ふだん人が立ち入らない場所にいるためか、人への警戒心は薄いようです。近くで観察することができ、好奇心旺盛んな姿も見せてくれます。
ホッキョクオオカミはどこで見られるの?北海道?動物園?
結論を先に言いますと…
現在日本国内でホッキョクオオカミは見られないようです。
ホッキョクオオカミは北海道標茶町の「オオカミの森」で飼育されていましたが、最後の一匹が死亡し、現在はいません。
ホッキョクオオカミは見ることができませんが、他の亜種のオオカミは多くの動物園で見ることができます。
幻のホッキョクオオカミも、けものフレンズに仲間入りしていた
マニアックな生き物の部類に入ると思われるホッキョクオオカミも、さすがと言うべきか、けものフレンズとしてデザインされていました。
全身白と寒色で統一されています。そして、もこもこの耳と尾。寒い地域の動物らしさが表現されていますね。
ホッキョクオオカミはタイリクオオカミの亜種ですが、本家タイリクオオカミはもちろん、他の亜種であるシンリンオオカミ・ツンドラオオカミ・イタリアオオカミ・ニホンオオカミもフレンズになっています。さすがすぎる…
けものフレンズは、ちゃんと動物の分類群が載っているので、そのあたりも注目してみると面白いと思います。
◯◯オオカミという名が付いていても、上記のように亜種同士の関係のものもいれば、別種の場合もあります。
タイリクオオカミは分布が広く、その繁栄ぶりが伺えます。しかし、人類との衝突などにより個体数を減らし、絶滅に瀕しているグループやニホンオオカミのように絶滅してしまった亜種もいます。
けものフレンズからリアルの動物の姿を知ってもらえたらいいな〜、と管理人は思っています。