チンアナゴの生活と恋:ダーウィンが来た!

ダーウィンが来た!
今回はチンアナゴでした。

世界初の映像も、今回とらえられました!

ダーウィンが来た!チンアナゴ回!チンアナゴとはどんな生き物!?

11月11日はチンアナゴの日!
細長い体から、狆穴子の日だそうです。

チンアナゴ(Heteroconger hassi) ウナギ目アナゴ科チンアナゴ属

チンアナゴは漢字で書くと、「狆穴子」。
鼻先がつぶれた犬の狆(チン)に似ていることからです。

生息地は沖縄。真っ白な砂地に半分潜った姿が有名です。

背には長い背びれ、胸びれは小さくほとんど目立ちません。

海流に乗って流れてくる動物プランクトン・魚の卵を主食としています。食事も半分体を出した状態で、滅多に泳ぐことはありません。採餌は視覚に頼るため、夜間は餌を摂りません。

天敵が近づくとすばやく穴に潜って隠れます。

崩れやすいはずの砂地の巣穴ですが、体から分泌される粘液が塗りこまれているため簡単に崩れることはありません。

新しく巣穴を掘る時は、尾から。尾を細かくくねらせながら潜ります。巣穴の深さは全長の2倍ほどあるため、全身を隠すことができます。

チンアナゴの恋:繁殖についてはほとんど分かっていなかったが…!?

6月が産卵シーズン。

この時期になると、チンアナゴはペアを作って寄り添って生活します。

オスはメスをめぐって激しく争います。
メスの方は産卵に備えるため、争うことなくのんびりと餌を取り続けます。

チンアナゴは、どうやら穴から抜け出すというリスクを犯さずに移動するようです。
一度巣穴に潜って、もとの入り口から数cm離れたところに顔を出します。これを繰り返してペアの元へ近づいていくのでしょう。

ウナギやアナゴのなかまの産卵が撮影されたのは今回が初だそうです。

普段は穴にこもっている夜間に、産卵が行われました。

ペアが体を震わせるような動きをし、やがてオスがメスの体を優しくつつき、産卵を促します。メスが産卵すると、オスが放精すると同時に暴れるような動きをします。あぶれオスもペアの産卵に割り込みます。

オスが暴れたとき塊だった卵が散り散りになるようです。

卵は海面に浮上し沖に流されていきます。3日で孵化し、しばらく沖で成長するようですが、詳しいことはまだわかっていません。いつ、どのくらいの大きさになって砂地に戻ってくるのかは解明されていないのです。今後の研究に期待、というところでしょう。

チンアナゴに似た魚・近い仲間

チンアナゴはウナギ目アナゴ科に分類されています。

ウナギ目にはその名の通り、「ウナギ(Anguilla japonica)」を含むウナギ科や、ウツボ科、ウミヘビ科(ウミヘビといっても爬虫類ではありません)、ハモ科、アナゴ科などが含まれます。

チンアナゴが属するアナゴ科には、他にはどんな魚がいるのでしょうか。

お寿司や蒲焼でおなじみ マアナゴ

食べたことがない人はなかなかいないのではないでしょうか。いわゆる「アナゴ」です。

チンアナゴで産卵の様子が観察されたのが世界初と放送されていましたが、マアナゴ(Conger myriaster)も産卵場が未だわかっていないのです。

馴染み深い魚のようですが、蓋を開けてみると未知の領域がたくさんの魚です。

ストライプが綺麗な魚 ニシキアナゴ

チンアナゴは白地に細かい黒点、エラ周辺や肛門周辺などに大きな黒斑の体が美しいですが、同じように砂に潜って暮らす魚のひとつに、ニシキアナゴ(Gorgasia preclara)がいます。

ニシキアナゴはまるでチンアナゴの色違いといった風貌で、白と黄色のストライプがかわいらしい魚です。

チンアナゴと並んで水族館の人気者、この2種はグッズになって売られていることもあります。

このあたりが有名な種類ですね。他にもハナアナゴ、ゴテンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、シンジュアナゴなど…聞いたことがないかもしれませんが、何種類もいるのです。

あまり光が当たらない種類の魚も、調べてみると面白いですよ。