ちなみに…ハゲの遺伝子は、男性では顕性(優性)、女性では潜性(劣性)だそうです。つまり、男性は1対の遺伝子のうち片方でもハゲ遺伝子を持っていれば禿げますが、女性は両方ハゲ遺伝子でないと禿げないということです。
優性と似た言葉「優生学」はナチスドイツでも使われた危険な思想
優生学とは、つまるところ人種改良をしようという話です。
有名どころはアドルフ・ヒトラー率いるナチスドイツの政策で、ドイツ民族を優秀は民族にすべく行われ、「不適格な」ユダヤ人の虐殺につながりました。
何が「優れて」いるのかは、そもそも人間が決めることではないと思います。
そして「優生学」を語る人は、ほぼ間違いなく自分自身は優れた人間と言い、自分と身内・自分に似た人物を保護しようとするのではないでしょうか。(自分の遺伝子のコピーを増やすことが生物の至上命題と考えれば不自然ではありませんが…。尚、生き物が「種の保存」のために行動する、という説は半世紀ほど前に否定されています。)
優生学は、チャールズ・ダーウィンの進化論に影響を受けた思想ですが、進化論は「適者生存」。「優れた」ものや強いものが生き残る、というわけではありません。
弱肉強食という言葉もあり、食う食われるの食物連鎖という観点ではあながち間違ってもいないでしょう。しかし、弱い生き物が滅びるかというとそうではありません。捕食する側か、される側かという点と、次の世代を残せるかというのは全く別問題です。
よくある例えを出すと、ティラノサウルスとウサギ。強いのは間違いなくティラノサウルスで、同時代に生きていたらウサギは餌食になるでしょう。しかし、ティラノサウルスは滅び、ウサギ(あるいはウサギの祖先)は今日まで生き延びてきました。
用語変更のもうひとつの理由は、優生学というそっくりな言葉があったためかもしれませんね。
潜性(劣性)の方が生存に有利かもしれませんし、環境によって顕性(優性)が有利に変わるかもしれません。たくさん形質があって、ジャンケンのような関係でバランスを取りあっている場合もあります。
用語変更によって、これらの言葉が正しく理解されるようになってくれればと思います。