鳥人大系では鳥類の中の1種類が進化するのではなく、鳥類全体が高度な知能を持って地球の支配者となる、という設定です。種を超えて社会や国家を築いていくとなると、同種内の男女差よりも種間の差の方が意味を持ってくるのかもしれません。漫画の中でも「食肉部族」と「食虫部族」の対立が描かれていますし、政府高官は食肉部族(猛禽類のことでしょう)で占められています。食肉部族が食虫部族を殺して食べてしまうという犯罪が発生したり、特定の種を差別したりという社会問題も作中に描かれています。
手塚治虫「鳥人大系」:鳥人でおしゃれに着飾るのは男か、女か
さらに鳥人大系では人間同様女性が着飾っていましたが、鳥類の生態を考えるとこれも違ってくるのではないかと思います。
スズメやカラスのうように羽の色が雌雄同色のものもいますが、雌雄で違うという場合はほとんどオスの方が派手な色をしています。オオルリ・キジ・オシドリ・クジャク・フウチョウ・マイコドリ…。鳥人の羽の色、あるいは服を着るとすれば、男女差がないものになるか、男性がおしゃれになるのでは、と思うのです。
鳥類の中には美しいさえずりを披露する種が数多くいます。夫婦でデュエットするものもいますが、多くはオスのみがさえずり、メスがそれを判定します。さえずりと同時にダンスを行うものもおり(メスもする種・しない種がいます)、多くの鳥類の色覚が敏感であることと併せて考えると、鳥人の文化は非常に芸術的なものになるかもしれません。
さて、鳥人大系では鳥類が人類にとって変わるのを、裏で操る者がいたのですが…これは作品を読んでのお楽しみということで!