「ブルーインパルス」はご存知ですか?
航空自衛隊に所属している「曲芸飛行」に特化した部隊です。
自衛隊の広報活動を主に行っており、その素晴らしい操縦技術による一糸乱れぬアクロバット、スモークによって大空のキャンパスに描かれる純白の軌跡の美しさは惚れ惚れします。
航空自衛隊のイベントや国民的行事の際に出動してその技術の高さを見せてくれるのですが、大空を縦横無尽に舞い踊る姿というのは見るものの心をつかんで離しません。地に足つけて生きる我々にとって消えることのない大空に対する憧れ……。
今回ご紹介する生き物は、ブルーインパルスに負けず劣らずのスーパー飛行生物、
え? 地味? クチバシ長すぎ?
まあまあそうおっしゃらずに、生き物を見た目で判断してたら面白さはわかりませんよ。見た目通りに面白いやつが多すぎるだけで。
アクロバットの達人、オオジシギを見ていきましょう。
・渡り鳥「オオジシギ」。夜行性のため生態は謎が多い……繁殖地には日本も。
オオジシギは「チドリ目シギ科タシギ属」に分類される鳥類です。
大きさは30センチくらい、「オオ」と付くわりに小さいですが、それでも日本のタシギ属の中では最大なんですよ。通常のタシギも25センチくらいあるので大差はありませんが。
冬の寒い時期はオーストラリアやインドネシアで越冬し、夏になると繁殖のために北上する渡り鳥です。
主な繁殖地は極東ロシアや日本。
オーストラリアから日本までは直線距離にしてなんと9,000キロ!!
改めて渡り鳥ってすごいなあ……。
草原や湿原などに生息しますが、本州では生息地に適した場所が年々減っているため、日本とオーストラリアが共同で保護の対象ともなっています。主に昆虫やミミズなどを食べる動物食ですが、葉っぱや種などの植物質を食べることもあります。
オオジシギは春から夏にかけて巣を作って繁殖しますが、夜行性であることからあまり情報がありません。
どのように飛来し、どのように過ごしているのか……。最近ではオオジシギに発信機を取り付け、どのようなルートで「渡り」を行っているのか豪日合同で調査を勧めているようです。意外とブッ飛んだルートで渡ってたりして。
地上に巣を作って子育てをし、チドリ目の仲間チドリと同じように「擬傷」という行動を行います。
これは捕食者がヒナに近づくと「ワタシは今弱ってるわよ!!」と迫真の演技で外敵を混乱させるのです。「おっ、楽に食えそうな大きいエサがあるじゃねえか」と親鳥を追っていった敵は遠くで置き去りにされてしまうのです。知能派だなオオジシギ……。
……と、ここまでどうでしょうか? そんなに面白くないんじゃないでしょうか?
少なくとも今まで紹介してきたクレイジーな生き物たちに比べるとよくも悪くもフツーに見えますよね。
しかし、じわじわとオオジシギの面白さは加速していくのです。
・オオジシギの地味な多彩さ。「さえずり」と「地鳴き」
鳥の鳴き声には種類がありますが、代表的な2つが「さえずり」と「地鳴き」です。
「さえずり」は繁殖期の鳴き声です。異性にアピールするための鳴き声、同性にテリトリーを主張するために使われます。
対して「地鳴き」は、「地のまま鳴く」ことを指す言葉です。要するに「さえずり以外の声」です。
オオジシギはどちらも特徴的な鳥で、「さえずり」は「ジーッ、ジーッ」と鳴きます。なんか鳥っぽくないんですよ。ちょっと昆虫っぽい、セミやキリギリスみたいな音を出すんですね。「地鳴き」は「ヒンヒン」、あるいは「ジュッ、ジュッ」と高い音で鳴きます。
しかし、ある特定のときにオオジシギは「ズビャーズビャー」と鳴くことがこの鳥の代名詞になっています。
さて、どんなときだと思いますか? まあ大体予測がついてると思いますけど。
いちおう引っ張りますよ!! 答えは次項!