の! ぼ! り! べ! つ!
……といえば!
クマ牧場!!
クマ牧場!!!!
愉快な仲間が!! 楽しい仲間が!?
YEAH!!
みんな待ってるぜ!!
クマ牧場!! ここは登別!!
クマ牧場!!!!
……えー北海道のローカルCMから失礼します。のぼりべつクマ牧場のテレビCM曲でした~(CM映像リンク)。
多分北海道民の99%は知ってますよのぼりべつクマ牧場。CMが面白すぎる。
さて今回のテーマは「ヒグマ」。
ここ2、3年大人気のマンガ「ゴールデンカムイ」で大々的にフィーチャーされていることで認知度も上がってきたんじゃないですかね?
北海道在住のワタクシとしてはなんとなく嬉しい限り。クマがフィーチャーされたマンガでいえばだいぶ前に「銀牙」がありましたね。敵最終的に10メートルになってましたけど。どんなクマだ。
「くまの◯ーさん」だの「テディー・ベア」だのでカワイイ感じになっているクマですが、我々北海道民にとってヒグマはもっとも身近な危険のひとつ。
その恐ろしさを含め、ご紹介しましょう。
・日本最強の動物!? 「ヒグマ」。ゴールデンカムイで日本中にトラウマを与えたモンスターの生息地は北海道!!
さて。みなさんクマといったらなにが思いつくでしょうか?
やっぱり○ーさん? ネズミと仲良しの? 千葉にいるやつ?
それともルーズベルト大統領のファーストネームが由来のぬいぐるみ?(テディベアってこういう由来らしいですよ)
最近だと九州のゆる~いアイツですかね? あ、若い人はLINEのクマかな? あの無表情のやつ。ちょっと怖い。
ええ、クマってかわいいですよね。
かわいいはかわいいんですけど。
ヒグマ
最大体長250センチ
最大体重520キロ
バケモンですわ。
体長、体重ともに日本に生息する陸生哺乳類で最大です。このサイズの筋肉のカタマリがキバとツメ持っているんですから、脅威的な存在であることは言うまでもありません。こえー。
ちょうどいい比較対象がなかったので、筋肉のカタマリつながりでゴリラのデータを。
ゴリラ
最大体長190センチ
最大体重250キロ
ゴリラもじゅうぶんでかい。でもヒグマのほうが巨大なんですね。
「地上最強の肉食獣」とも呼ばれる「アムールトラ(シベリアトラ)」は最大体長250センチ、最大体重450キロ。「百獣の王」ライオンは最大体長250センチながら最大体重250キロほど。ヒグマでけー。
さて、なんか比較しすぎてヒグマの大きさがぼんやりしてきちゃいましたので、このあたりでヒグマの基本情報を見ていきましょう。
分類は「食肉目クマ科クマ属ヒグマ」。多くの亜種がいて、そのひとつが日本は北海道に生息している「エゾヒグマ」。ゴールデンカムイに出てるクマはこれですね。
エゾと名付けられているように、日本では北海道にしかヒグマは生息していません。それ以外の本州や四国にいるのは「ニホンツキノワグマ」。ヒグマに比べるとそこまで大きくならないクマですが、こいつも当然、危険です。
では北海道のエゾヒグマはどれぐらい危険なのか? その驚異のスペックを見てみましょう。
・ゴールデンカムイネタばっかりでゴメン。ヒグマの性格、生態。強い、賢い、タチ悪い。
ゴールデンカムイ(ヤングジャンプコミックス)では明治後半の北海道が舞台であるため、ヒグマはもちろんアイヌ、オオカミなど北海道らしいものがモリモリ出てきます。
特にヒグマは「自然の脅威」「恐ろしい捕食者」として何度も登場し、善悪のない大いなる力として描かれている、と思います。
そもそも第1話からして
「ハラワタだけ食った人間の死体を埋めとく」
というおっかないスタートを切ってますから。死体の虚ろな表情込みですげーこわい。
まず、普段のヒグマの生活。1年通して紹介します。
まず春、数ヶ月の冬眠から起きて活動を始めます。
何も食べていない期間が長すぎて胃腸が弱っているので、新芽や柔らかい山菜のたぐいをむしゃむしゃ食べて生活します。
いわゆる「山菜採りに行ってクマに会う」パターンはこの時期に起こります。春は山菜の美味しいシーズンなので、クマと人間は競合してしまうのです。山菜おいしいけど、コレが怖すぎて取りに行きたくないよ。
夏は繁殖の季節です。オスはメスを求めて動き回ります。夏になるとお腹がこなれたのか昆虫やザリガニなどの動物質もよく食べるようになり、だんだん調子を取り戻してきましたね。
秋はクマの季節です。冬眠前に豊かな山の幸を食らいつくさんばかりによく食べ、よく太ります。ドングリやブドウなど木の実を食べ、サケやマスの遡上する川がある地域ではもちろんそれらもガツガツ食べます。キノコなども好むようで、案外リッチな食生活を送ります。この時期には人間もキノコ狩りなどでクマとかち合う事故が多発します。ヒグマ事故の半分は秋に起こるのです。
そして冬、冬ごもりの準備をして穴に籠もって眠りにつきます。
いわゆる冬眠です。大きな動物は食事の量でどうしても冬が不利ですが、冬眠してしまうことで厳しい冬を乗り越えていきます。小グマも母グマとともに冬眠するんですが、絶食のため冬眠明けには体重が3分の2になってしまうのです。そりゃ冬以外たくさん食べますわ。
ヒグマの特徴的な習性を紹介しましょう。
・ハンターを翻弄、ヒグマの止め足
ヒグマは推理小説じみたトリックで自分を狙う猟師を惑わします。
「止め足」は自分の足跡を逆に辿って戻ることで、コレによってどの足跡が正しいものなのかわからないように撹乱。山じゃ負け無しの生物だろうにこんな小技を使います。
・自分の獲物は絶対に逃さない
ヒグマは自分が手に入れたものを絶対に譲りません。
獲物を食べきれないときなど、ヒグマは獲物を埋めて貯蔵します。このとき、仮に親族の死体が埋められていたとしても、奪い返すことはできません。
なぜなら、その死体を奪うとヒグマはどこまでも追ってくるからなのです。
日本における最悪のヒグマ被害、
「三毛別羆事件」。
ヒグマの恐ろしさとはこのことです。
・北海道、ロシアのヒグマ事件。恐ろしすぎるヒグマの執念。
「三毛別羆事件」とは、1915年に北海道で起こった熊害(ゆうがい)事件です。
11月、開拓を始めたばかりの村にヒグマが現れます。飼っていた馬が殺されることを防ぐためにマタギとともに待ち伏せるも、撃ち殺すことは叶わず。そのヒグマは「穴持たず」という冬眠しそこねて飢えた、凶暴なヒグマだったのです。
ある日、働いていた男たちが家にもどると惨殺された6歳の少年の姿が……!
もう1人いたはずの内縁の妻もヒグマに殺され、死体は雪に埋められていました。「保存食」にしようとしたのです。
ヒグマは賢い動物です。
飢えている今、簡単に食べられる肉の塊がうようよいると知ってしまったらどうするのでしょうか?
そして、保存しようとしていた肉を奪われたヒグマ。それもこの上なく飢えたヒグマは、どうするんでしょうか?
葬式をするために死体を持ち帰るとヒグマは村に襲いかかり、女子供、妊婦の腹まで食い破ったのです。
最終的には陸軍までもが投入されヒグマは殺されたのですが、
死亡者は7名、負傷者3名という残酷な結果が残りました。
その全容は恐ろしすぎて、そしてボリュームがありすぎてここにすべて記すことはできません。よろしければ検索結果をどうぞ。
そして国は違えど、恐ろしいヒグマ事件はロシアにもあります。
2011年、ロシアはカムチャッカ半島で起きた耳を覆いたくなるような血なまぐさい事件です。
運転免許を取ったばかりの若い女性が、義父とともにキャンプ場の川原でやすんでいると突然ヒグマが現れ、義父の首を一撃でへし折り、女性も逃げ切ることはできず脚を攻撃されて身動きが取れなくなってしまいます。
そして、ヒグマはまだ生きている彼女を下半身から食べ始めたのです。
母親に電話をかけて「クマが自分を食べている」と助けを求めます。母親はキャンプ地近くに通報しますが、2度めの電話がかかってきます。
それは先程のクマが小グマを連れて戻ってきて、4匹で彼女を食べているという内容でした。
そして3度めの電話は、もう痛みを感じなくなった彼女の、母親に愛していると伝える内容でした。
30分後、警察が駆けつけたときには、2人は無残な姿で発見されました。
クマはかわいい、大いに結構です。
しかし、こういった恐ろしさも知るべきだと思います。
この恐ろしさもまた「クマ」の真実なのですから。