首を長――――――――くして待ってました。
「知ってるようで知らないシリーズ」~。
今回は「キリン(Google画像検索)」でーす。
動物園といえばゾウの次はキリン。大メジャー動物ですね。
イエローとブラウンのバナナ色というポップなカラーリングと、ビックリするほど首が長いことで有名なアイツですね。まつ毛もながーい。
世界で一番背の高い動物、というわかりやすい長所もあり、ネタ満載のキリン。
しかし、この特徴的過ぎる特徴があるゆえに分かりにくい多くのマイナー特徴があることは動物好き意外にはあまり知られていません。せっかく面白いのに……。
なので今回は「イメージとちょっと違う」キリンを見ていきましょう!!
・動物園の人気者「キリン」。数値でわかるビックリサイズ、こんな生態もあったのね~!
ウシの仲間、キリン。
「偶蹄目(ウシ目)キリン科キリン属」に属するキリンは、
アフリカ大陸に生息する世界一背の高い動物です。
なんと、足元から頭のてっぺんまで
高さ5メートル!!
これはおおよそ信号機くらいの高さ! 高っ!!
こりゃダーウィンも「高いところの葉っぱを食べれるように進化したんだな」と考えちゃうくらい高いです!!
体重も最大で2トンくらい。もはや特殊車両みたいなサイズ感ですね。
首や脚だけで長さ2メートルにもなるキリンですが、長いのはこれらだけではありません。
舌はなんと45センチもあり、枝の隙間から葉っぱを効率よく食べられるようになっています。思えば手が使えないのですから、上手に食べるためには必要なことなんですね。
ちなみに、キリンの舌は紫色をしていますが、これは日焼け対策のため。
まあそりゃ一日中サバンナでベロを出してればね……。日焼けしてヒリヒリしちゃうもんね……。
さらに、この体で生きていくためにとっても大変なことがあります。
「血液の循環」です。
血液を循環させなければ、全身に酸素や栄養を送ることが出来ません。2トンの体を維持するだけの血液を、高さ5メートルまで運ばなければいけません。
そのため、心臓がでっかいです。
人間の心臓がだいたい300グラム。
キリンの心臓が10キログラムです。
エンジンの性能がまるで違う。
この他にも、循環器が非常に特異で、
血圧が異常に高い(160~260。いわゆる人間の高血圧は90~140)。
高血圧に耐えうる弾力ある血管
首を下げたとき、頭部の血管が破裂しないようにする毛細血管「奇網」
「足がむくむ」のを防ぐ固い皮膚と筋肉
などなど、首を長くして高いところの葉を食べるためにメチャメチャ色々な進化を遂げています。
ね~? 「背が高い」だけでもこんなに面白い特徴がたくさんあるんですよ~!
ここまではまだまだ助走、ここからもう少しコアな「キリン」を見ていきましょう。
・キリンの首は「攻撃」にも……!? 骨折しそうな「ネッキング」! オスどうしで……?
キリンは首が長いです。
もー知ってる? いえいえ今回はずっと言い続けますよ。
キリンはこの首の長さで苦労もしているんですよ。
まず「睡眠」。
こーんなに長い首を持ってるものだから、横になってグーグー寝てるとすぐに立ち上がれなくて危険です。
なので立ったまま寝ます。
しかも油断したら肉食獣に狙われるので一度の睡眠は5分足らず。
一日の合計睡眠時間も2時間程度です。
……そこまでして高いところの葉っぱが食べたいかね?
キリンくん。
また、首が長いということは口を目的のところに動かすのが難しいです。すご~く長いお箸で食事すると考えてみたら分かりやすいかもしれません。
水を飲む時は首をぐぐ~っと下げるために大開脚しなければなりません。普段は葉っぱの水分のみで生きていけるのですが、飲みたいときもあるよね。
そしてオスたちがもっとも苦労しているといっても過言ではないのが「ケンカ」です。
オス同士はよくケンカするのですが、蹴るには高さが足りませんし、
噛みつくにも首の長さのせいでうまく狙いをつけられません。
ではどうするのか。
首で殴り合います。
長い首をハンマーのようにブンブン振り回し、
相手のキリンにボンガボンガぶつけます。
キリンは首から上だけで200キロ近い重量を持ち、
長さは2メートル……。
「2メートル、200キロのハンマーで殴り合っているようなモン」です。モン◯ンみたいなダイナミックバトルですね……!!
このとき、攻撃側は自分の後頭部を叩きつけるのですが、キリンの後頭部にある5本の短いツノ、これをぶつけているんですね。
このケンカのためか、オスキリンの頭蓋骨は15キログラムにもなる重量級です。メスキリンの頭蓋骨が4~5キログラムであることを考えるとまったく重さが違います……。
このケンカを「ネッキング」といい、ネッキングに勝つと他のオスより優先して交尾できます。やっぱり強いオトコはモテるんですね。
もちろん、ネッキングによって首の骨を折ってしまうこともあります。死に至らなかったとしても、野生の世界を生き抜くことはできません。人間が管理しているキリンが首を骨折した場合、安楽死させることもある重症です。
でも戦うんですね。生きなきゃいけないから。
・オス同士のケンカ「ネッキング」。青春……なのか?
オス同士、特に若いオスに見られるネッキング。
両者、バイク事故レベルの打撃をボゴボゴにブチこみ、人間が巻き込まれたらミンチになってしまうであろう戦いですが、決着がつかないことも多いです。
でもスッキリしないんでしょうね、そういった場合
オス同士で交尾します。
殴り合っていたはずが、長い舌でペロペロしたり、キスめいたことに変わっていき、
最終的には交尾スタイルになってしまうんです。
「ケンカの興奮を性的興奮と勘違いしているのでは」というのが
専門家の見解ですが、そんなケンカ後は燃えるみたいな……。
そしてキリンが行う交尾のほとんどはオス同士。まあそりゃメスとケンカしたら殺しちゃうだろうけどさ……。体格差とかあるし……。
・未だ進化するキリン。長~い首の骨に秘密が!!
哺乳類の首の骨は7つです。
首の骨、「頚椎」というのですが、これは哺乳類共通で7つなのです。どれだけ首が短かろうが長かろうが、頚椎は7つなのです。(ちょっとだけ例外もあるけどね。ナマケモノとか)
そのため、キリンの頚椎は1つ30センチくらい、人間の腕の骨くらい長いんです。ヘビと違ってグニャグニャ動かせるわけではないんですね。
いつしかキリンも「不便だなぁ~」って思いはじめたんでしょうね。
「首曲がんないな~」って。
キリンは思いもよらない方法で
「8つ目の首の骨」を作り出したんです。
なんと、首の付け根が接続する胸の骨を動かせるようにしたのです。
首を動かすとき、胸の骨も一緒に動かすことで関節ひとつ分、広く動くようになったんですよ!!
これによってキリンは50センチも首を動かす範囲を広げ、
「高いところの葉っぱを食べる」
「下を向いて水を飲む」
という両極端な2つの動きを補助しているのです。
いや~まさか胸の骨を作り変えるほど「首を長く」と進化していたとは……!!
動物園に行ってキリンを見てみましょう。絶対に以前と違う目線で見てしまうと思いますよ?