ヘンな鳥の最古参?「カカポ(フクロオウム)」。レックという愛の儀式と、現在。

・カカポの求愛の儀式「レック」。貴族のようなその優雅さ。

特徴満載のカカポ。実はまだ最大の特徴があるのです。

それこそ「レック」オウムでは世界で唯一の方法です。

レックとはなんなのか?

非常に簡単に言えば「婚活パーティ」です。

時期になるとオスたちは小高い丘などに集まり、「庭」と呼ばれるフィールドを作り始めます。ボウル状の穴を掘って、そこを自分の縄張りにします。そこでオスたちはケンカしながら「レック」を行います。

オスはメスに求愛するために唸り声をあげます。「ここにいい男いるぞ!」とアピールするんですね。

しかしこの鳴き声が異常です。風向き次第で5キロ先まで届くこともあるそうです。ちなみにこの唸り声を何ヶ月も出すことによって、オスの体重は半分になってしまうそうです。全力すぎ!

そのくせカカポのレックは4~5年に1回。そこは草食系すぎる!

メスたちはオスたちの唸り声によって、普段の縄張りを離れてパーティ会場へ向かいます。メスがオスの作った「庭」に入ると、「庭」の持ち主のオスはダンスを踊ってメスにアピール。これが上手くいけば晴れてメスと結ばれるわけですね。

まさに文化的な婚活パーティ(ケンカによる流血あり)。

あんなキュートでマヌケそうなカカポにこんな一面があるんですねー。

ちなみに、レックで結ばれたメスは自分の縄張りに帰って1人で子育てするので、オスは期間中にまだまだメスを誘います。

メスも1羽の相手としかつがわないとは限りません。特定の相手と婚姻関係を結ばない、乱婚制ですね。

……不倫は文化? かな? (そもそもこれって不倫?)

・見たい! 飼いたい! カカポが見れる動物園ってある!?

そんな特徴的すぎるほど特徴があるカカポ。

見てみたいですよね~♪

モコモコボディを抱っこしたい……。エサとかあげてみたい……。

しかし残念ながら。

カカポは見れませんし、飼えません。

……。ちゃんと理由はありますよ。

カカポ、絶滅寸前にもほどがあるんです。

現在、150匹しかいないんですよ。カカポ。

わかりにくいですかね?

絶滅危惧種として有名なパンダ。

パンダは2015年の調査で1800頭以上いるとされています。

カカポはその10分の1しかいないんですよ。

なぜそんなに数がいないのか?

……頭の痛い話なんですけど……。100%人間のせいなんです。

ニュージーランドに人間が入ってきたのはおよそ1000年前。人間は飛べない、太った、キレイな色をしたカカポをこれでもかと狩りまくりました。

また人間とともに移動してきたイヌなどの小型肉食獣の格好の獲物でもありました。
羽毛は衣服、肉は食用。しかもカカポは「逃げない」んです。

なぜなら、それまで最大の天敵だった猛禽類から身を守るためには草木に擬態してじっと動かないほうが安全だったからです。身の危険を感じるとうずくまってしまいます。人間からしたらひょいっと持ち上げるだけで捕獲できるのでお手軽この上ないですよね。

もうそりゃジャンジャン狩りました。ヨーロッパから入植者が来ると悲劇はさらに加速します。

ヨーロッパにとってカカポは「知らない珍しい鳥」でした。動物園などにガンガン売られて行きました。またネコやイタチなどが持ち込まれ、これもカカポにとって脅威になりました。荷物に混じっていたのでしょうか、ネズミはカカポの卵を食べました。

恐ろしい話ですが、カカポが数を減らしているのを知りながら人間は狩りを続けました。「絶滅する前に手に入れよう」という私利私欲によって……。

19世紀後半にニュージーランド政府はカカポの保護活動を始めましたが、その後、第一次世界大戦と大恐慌によって保護活動を推進することが難しくなり、まだ動物保護の知識が少なかったこともあって失敗に終わります。カカポを天敵がいない島へ輸送したのですが、天敵であるシロテンはカカポの匂いを辿って海を渡りカカポを食い尽くしました。

その後、第二次世界大戦が終わり、ようやく保護活動が本格的に再開されます。カカポを移住させるために遠く離れた島で天敵となる生物を徹底的に駆除し、安全な環境を作って輸送。そこでゆっくりと数を回復させることになりました。

現在、カカポは150匹。かつてニュージーランドには100万匹を越えるほどいたとのこと。人間たちがどれだけ殺したのか考えるだけで頭が痛くなります。

そして覚えておられるでしょうか。レックに関する項で、「カカポのレックは4~5年に1度」と書きました。これも恐らくはもともと天敵が少なかったので急いで増える必要がなかったのでしょう。カカポが数を回復するまではきっと何百年とかかるのでしょう。

これほど希少な保護鳥なので、当然、飼うことはできません。

動物園に展示も当然ながらありません。

生で見ることはもちろん、触ることなんて夢のまた夢です。

ただし、可能性がまったくのゼロというわけではありません。

ニュージーランド政府の環境保護大使に就任している

シロッコくんというカカポがいます。

このシロッコくんは環境保護大使の仕事としてニュージーランド国内を展示されて回っています。

もしカカポを見るチャンスがあるとすれば、

シロッコくんが展示されている期間を目掛けてニュージーランドへ旅行に行くことです。それ以外に一般人が見る方法はありません。

シロッコくんの展示にはカカポの詳しい歴史などがまとめられているので、そちらを見て今一度、動物保護について考えを巡らせてみてはいかがでしょうか?

・さいごに

カカポの歴史は、人間の恥の歴史でもあります。

いつか、カカポを飼えるような世の中になるように、一人ひとりが考えていくべきなのでしょう。

……さて、ウナギは絶滅前に食べるのを止められるんでしょうかね?

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