今回は恐竜と鳥類の関係についてお話します。恐竜についての議論の中に「恐竜の子孫は鳥類である」という説が出て来ます。
これは、近年の研究から恐竜が鳥類と多くの共通点が見られたことから考えられた説です。しかしながら、恐竜は絶滅したと考えられます。その場合、鳥類が恐竜の子孫であるという説と矛盾します。
恐竜については日進月歩の勢いで色々なことが分かってきました。そういう進歩により、昨日までの常識が覆すことも多々あります。
今回の内容も、一昔前の恐竜の前提を覆す内容になります。
そもそも恐竜とは何か? 鳥類との共通点
一昔前の図鑑では、「恐竜は大型な爬虫類である」と書かれていました。しかしながら、今の図鑑はこのような表現は難しいようです。それは、先程言った恐竜と鳥類の共通点が多く見られたからです。
以下恐竜と鳥類の共通点です。
- 直立歩行
- 三つ以上の仙骨を持つ
- 左右がつながったV字型の鎖骨を持つ
- 羽毛を持つ
- 手は第一指から第三指まである
- 手根骨(手首の骨)が半月形、これにより手首の回転が可能
- 恥骨が後方に伸び、坐骨と並行になっている
- 気嚢(鳥の呼吸器官)と似た中空の骨が存在する
また近年、中国で鳥類の祖先や親戚となるような羽毛恐竜が数多く発見されました。この事実より、鳥類は恐竜の子孫であるとほぼ認められるようになりました。
これで、最初の疑問の答えが明らかになりました。つまり、鳥類は恐竜の子孫であるなら、恐竜は絶滅してはいなかったという事実を裏づける事になります。
鳥が恐竜の子孫であると考える研究者達はこう述べました。
「白亜紀末(6500万年前)に急激な環境変化によって非鳥類型恐竜は絶滅したが、鳥類型恐竜は生き残った」
ここで、見慣れない鳥類型恐竜、非鳥類型恐竜という単語が出てきます。鳥類型恐竜とは現在の鳥類の祖先に当たる恐竜です。正確には、鳥類は獣脚類(分類群の一つ)の一群を指します。これに対し、非鳥類型恐竜とは鳥類型恐竜以外の恐竜を指します。
さて、なぜ鳥類型恐竜だけが生き残ったのでしょうか?
次の項で詳しく話していきます。
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