今回はフトアゴヒゲトカゲの脱皮について話します。
本来、脱皮というのは爬虫類だけの特長ではなく、昆虫、カニ、エビなどの節足動物も行います。
この脱皮とは成長のため古くなった外皮を脱ぎ捨てることを指します。
そして、脱皮不全とはこれらの脱皮が不完全な状態の名称です。脱皮が不完全とは何かというと、脱皮の古い皮が体表に残っている状態のことです。この状態が続くと病気を引き起こしたり、怪我を負う可能性が高くなります。
脱皮については、フトアゴヒゲトカゲだけでなく、爬虫類を飼うならば知っておいてほしい知識となります。
それでは、脱皮の具体的な話に入ります。脱皮の頻度、脱皮の対処、脱皮不全の予防と対策を主な話となります。
フトアゴヒゲトカゲの脱皮頻度
脱皮には成長の為だけでなく、同時に新陳代謝も行っています。
新陳代謝とは、人間の垢のようなものです。古くなった細胞を捨て、新しい細胞と交換する。
ただ我々人間と違って、この交換期間が一定期間ごとに行われるという特徴があります。
個体、年齢、与える餌によって脱皮頻度が違います。定期的に脱皮するとも限らないということも多いです。中々脱皮をしないから問題があるというわけではありません。
一般に、成体より幼体の方が頻繁に脱皮するようです。およそ成体は2~3週間、幼体は1~2週間ぐらいが脱皮の頻度となります。
フトアゴヒゲトカゲの脱皮前、脱皮中の対処
フトアゴヒゲトカゲの脱皮は蛇とは違い、部分的に行われます。また、日をかけて脱皮することもあります。
ただ脱皮する予測は難しいです。ヘビやヤモリのように体表が白くなったりはしないので、身体の変化等で見分けがつきにくいからです。一説によると、脱皮前には食欲不振、緩慢な動きになると聞きます。ですが、個体差に寄るので一概に言えません。
脱皮中の対処としては、霧吹き等の湿度を上げて、そっと見守りましょう。脱皮中は通常より緊張しています。不用意に物音を立てたり、触ったりすることはやめましょう。
場合によっては、脱皮を諦めてしまう事もあります。霧吹き以外の対処としては、ケージ内に脱皮用のゴツゴツした岩を入れておきましょう。フトアゴヒゲトカゲが脱皮する際に、岩に身体をこすり皮を落とすのに役立ちます。
脱皮する時に、注意すべき点が一つあります。
それは、脱皮不全でない限り、基本は脱皮を手伝うのもやめましょう。
脱皮の皮が取れなくて、もどかしい気持ちは分かります。しかし、人間の手や道具では傷がつきやすく、傷がつかなくてもストレスを多大に受ける可能性が高いです。
自然に自力で脱皮させるという姿勢が大事です。
フトアゴヒゲトカゲの脱皮不全 詳細と対策
それでは、最後に脱皮不全についてお話します。
先程も少し説明しましたが、この脱皮不全は脱皮する際の古い皮が残る状態を指します。この状態が続くと、皮が残る部分が血行が悪くなり、黒ずんだりします。最悪、古い皮に締め付けられ壊死したりします。
そうならないために予防策として、栄養のある野菜を与える、効果がある紫外線ライトをつける、カルシウム剤なども添加も忘れない。紫外線ライトは脱皮を促進する効果があります。
脱皮不全は体調不良や栄養不足からも引き起こしやすくなります。日々の体調管理を忘れないにしましょう。
もし脱皮不全となったら、霧吹きをケージに吹きかけ、湿度を上げましょう。この時は、直接生体に吹きかけないようにしましょう。それでも、皮が残る場合は温浴をさせましょう。温浴とは生体をお湯の入った容器に入れる事です。お湯に浸けることで、古い皮がふやかして取れやすくなります。
温浴する際のポイントは
・バスキングの後に行う。
・お湯の温度を35℃~36℃位
・お湯の深さは足がつく深さにすること
・温浴する時間は5~10分ほど
この4つのポイントがあります。
バスキングの後にするのは、体温温度差を少なくするためです。
温浴する時間は目安です。個体によっては温浴を嫌がります。フトアゴヒゲトカゲが湯船から出たがったり、嫌がったりしたら、速めにお湯から出しましょう 。温浴よりもストレスをかけさせないことが大事です。また、長時間温浴は負担が大きいのでやめましょう。
温浴をしても取れない場合、最終的に湿った綿棒やピンセットで取ることになります。
綿棒は軽く擦るように皮を取り、ピンセットは皮を剥がすように使います。しかし、これは最終手段です。出来るだけで人の手を使わずに、自力で脱皮させましょう。
また、人間の力は強すぎることがあり、脱皮が上手く剥がれなかったりすることもあります。基本はフトアゴヒゲトカゲ自身に任せる事が大事です。これも信頼関係を築く為に必要なことです。
基本の姿勢を忘れないようにしましょう。