・長寿とはなにか? 「心拍数」「呼吸」から亀の寿命の理由を暴く。
えー、ちょっとだけ難しいお話になります。
・まず心拍数について
心拍数と寿命には密接な関係がある、という説があります。
日本の研究者に「本川達雄」という生物学者がおられるのですが、彼が執筆した「ゾウの時間ネズミの時間」という本に「哺乳類の寿命は心拍数15億回」と紹介されています。
例えば、インドゾウは心臓が1回ドキドキするのに3秒かかるそうです。
しかし、ハツカネズミは1回ドキドキするのに0.1秒しかかからない……。
ハツカネズミはインドゾウに比べて、30倍のスピードでドキドキしてるわけですね。
そして、インドゾウの寿命が約70年。
ハツカネズミの寿命は2、3年。
インドゾウはハツカネズミの30倍の寿命があるんです。
こういったデータから「寿命と心拍数には関係がある」とう説が唱えられています。
・次に呼吸について
みなさんも同じように、たくさんの生物が酸素を求めて呼吸をしますよね。人間は1分に何回、呼吸しているでしょうか?
呼吸で酸素を取り込むことは、生き物にとってとても大切なものです。しかしながら、酸素を取り込んで細胞が酸化する、というのは同時に細胞の劣化でもあります。酸素があったほうがパワーが出るし素早く動けるけど、その分、体に負担がかかっているということなんですね。
それでは、上のデータをもとに亀について考えてみましょう。
・心拍数と呼吸から見る亀の生態
亀は1分間の心拍数も呼吸数も、ダントツに少ないんです。
例として人間の1分間の心拍数と呼吸数を。
心拍数が約60回。
呼吸数が約18回。
対して亀のデータ。
心拍数が約25回。
呼吸数が約5回。
どうですか、この圧倒的な差!
心拍数と呼吸数が少ないほど寿命が長い、という前提から見ると亀が長寿なことにも納得がいきますね。
加えて、亀は冬眠も夏眠もします。休眠状態のときには当然、心拍数も呼吸数も減少するので、より長生きできる生態なんですね~。
・ペットの亀の寿命ってどのくらいあるの?
さて、亀の長寿の秘訣がわかったところで、もっと身近なテーマを。
亀はペットとしても人気ですし、皆さんもお祭りの屋台「亀すくい」なんかでゲットした亀を飼ったことがあるのでは?
ここでは一般的な亀の寿命について調べてみましょう。
・ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ) 約25年
おそらく日本で一番、身近な種類の亀でしょう。本名はミシシッピアカミミガメですが通称「ミドリガメ」として日本中に分布しています。
なんと25年ほども生きます。5歳の男の子が祭りですくった亀は、30歳になるまで生きるのです。だからこそ捨てられて日本中に生息してるんでしょう。
皆さん、飼いきれなくなったらそのへんに捨てずに、殺処分することも飼い主としての責務ですよ。無責任に放すのはやめましょう。
・ギリシャリクガメ 約40年
初心者でも飼いやすい種類、甲羅の模様がカワイイということで人気のある亀です。
もう寿命のインフレがすごいですね。40年って。大人になってから飼育したら飼い主が先に死んじゃうかもしれませんよ。
・オオアタマヒメニオイガメ 約25年
大きくなっても12,3センチくらいの小さくてカワイイ亀です。目がくりっくりしていて本当にカワイイ……んですが。小さくても亀は亀。長生きですねえ……。
・最後に
亀は本当に長生きする生き物です。
もしもこれから亀を飼おうとしているのなら、飼い主になにかあったときのために引き取り手を探しておいたり、子供に受け継いで飼ってもらうようにするなど、長寿な生き物との付き合いを考えてあげたいですね。