初投稿ということで、「アダムとイブ」と題しまして、我々の起源についてゆるく見てみたいと思います。
ご先祖様の探し方
自分自身の祖先を知りたいと思ったら、どうしますか?
2代前(祖父母)くらいはすぐわかるでしょう。
それより数代前も、墓標に刻まれた名前で、人によっては家系図などでかなり前までわかるかもしれません。
では、もっと昔…有史以前のことを知りたいと思ったら…?
遺伝子を調べたらある程度のことがわかりそうなのは想像に難くないところですが、その方法・ロジックがなかなか面白いのです。
細胞の中の細胞の中の遺伝子からイブをたどる
さて、突然ですが、
我々の細胞の中には細胞があります。
何のことかというと、「ミトコンドリア」です。
これは細胞の呼吸を司っている器官なのですが、もともとはなんと、外側の細胞とは別の生物(細胞)でした。何らかのきっかけで取り込まれ、細胞が入れ子状になったというわけです。
※ちなみに、植物細胞には「葉緑体」という別の細胞種類も入っています。
もともと別の生き物ですから、ミトコンドリアはミトコンドリア独自の遺伝子を持っています。
ご先祖様の話から少しずれましたが…
おもしろいことに、受精の段階で受け継がれるミトコンドリアは、卵細胞が持っているもののみなのです。卵細胞由来=母親由来ということなので、
つまり!!
ミトコンドリアを辿れば、母の母の、その前の母の…と、はるか昔母、「イブ」にたどり着けるというわけです。(アフリカの1人の女性にたどり着きます。)
では、アダムのたどり方は?
Y染色体をたどります。
こちらは単純明快。
ヒトは46本の染色体を持っており、うち2本が性染色体と呼ばれ、
女性はXX
男性はXY
を持っています。
男性のみY染色体をもつので、これをたどっていけば、「アダム」にたどり着くというわけです。
ちなみに、これは哺乳類のお話で、鳥類などは
オスはZZ
メスはZW
で、オスが同じ染色体、メスが違う染色体を持ちます。
遺伝子は変異する
遺伝子は細胞から細胞へ、親から子へ、と伝えられていくわけですが、稀にコピーミスをすることがあります。
これを使えば、もっと細かい起源・分岐を調べることができます。
アフリカを出てから広がっていく様子、日本にたどり着くまでの経路、アフリカに残った人々の動きなどがわかるというわけです。
交雑できない種から遺伝子がやってくる!?
さて、ここからは本題とは外れます…
(学校の授業は雑談の方が面白かったりしますがどうでしょう)
実は我々が持っている遺伝子は、代々受け継がれてきたものだけでできているわけではないのです。
別種の人類であるネアンデルタール人と交雑したという話もありますが、それも”代々受け継がれてきた”うちです。
ではどこから遺伝子が来るのか。
それは「ウイルス」です。
ウイルスといえばみなさんご存知のインフルエンザや風邪。
ウイルスは宿主細胞に入り込み、宿主のDNAを切って自分自身のDNAを埋め込んで複製させ、細胞を破壊して外に出て、さらに別の細胞へ…という感染メカニズムを持っています。
このメカニズムがうまく働かずに、ウイルスのDNAが取り残されたとしたらどうでしょう?
あるいは複製する際に宿主のDNAも一緒に持ち出してしまったら?
複数種の生物に感染するウイルスだったなら?
交雑しない生物間で遺伝子がやりとりされることになるのです。
自分の中に別の生物の遺伝子が組み込まれているのかもしれない。
風邪をひいたとき、ふとそんなことを考えてしまいます。