アニサキス症の原因は? 予防・治療方法とその生態

鯖

有名かつ身近なアニサキスという寄生虫。
生きたアニサキスをヒトが食べてしまうと、激しい腹痛等の症状が特徴のアニサキス症を引き起こします。

なぜアニサキス症になるのか、予防方法はあるのか等、見ていきたいと思います。

そもそもアニサキスとはどんな生き物?大きさ、生態は?

アニサキス(Anisakis simplex

アニサキスは「線虫」と呼ばれるグループの生物に属し、文字通り細長い体をしています。大きさは約2〜3cm。半透明です。

ちなみに生物学の分野で C.elegansCaenorhabditis elegans)という有名な線虫がいます。なんだか優美な名前…

魚介類の内臓に寄生しますが、宿主が死ぬと筋肉に移動します。家庭では、ぐるぐると渦を巻いて内臓に張り付いた状態で見つかることが多いでしょう。

上記がよく目にするアニサキスなのですが、これは幼虫。彼らには最終形態があるのです…

成虫は20cmほどにまでなります。でっか!

幼虫はオキアミを経由して魚介類へ、そして成虫は鯨類、と居場所を変えます、一生のうちで宿主を変えるという興味深い生態を持ちます。

鯨類の胃の中にはまるでそうめんのように、そうめんを食べた後の胃を見ているのかと錯覚するほどに大量のアニサキスがみられます。

尚、これは絶対に画像検索してはいけません。筆者はこういう類は平気な方だと自負していますが、それでも気持ち悪いと思いましたよ。静止画だったのがせめてもの救いです。もう一度言います。検索しないでね!

アニサキス症の原因と治療方法は?

アニサキス症は、アニサキスが本来の宿主ではないヒトに食べられ、胃壁に刺さることで(胃酸から逃れようとしているといわれています)発生します。

これによって強烈な腹痛と吐き気を催すことになります。大の大人が転げまわるくらいの痛みだそうです。

さらに、アニサキスでアレルギー症状も知られており、アニサキスを2回以上取り込んでしまうとアナフィラキシーが起こる場合があります。

治療方法ですが、胃壁に刺さったアニサキスを内視鏡で引き抜く、というシンプルなものです。ただし、食べ物が胃に残っていると内視鏡が使えないため、病院に行ってから一晩もがき苦しんだという話も聞いたことがあります。予防するに越したことはありません。

アニサキスから身を守る!予防方法は加熱・冷凍!

生きたアニサキスを取り込むとアニサキス症になるわけですので、要点は「いかにアニサキスを死滅させるか」です。

方法は3つあります。

  1. 加熱
  2. 冷凍
  3. 物理的に破壊

アニサキスは加熱に弱く、焼き魚・煮魚等であればまず感染することはありません。

冷凍でも死滅するので、刺身を食べたい時の対策の一つがこれです。

3つ目の方法が物理的に包丁で切ったり、嚙み潰したりというものです。

ただし、これはアニサキスを逃さないよう工夫が必要です。

アニサキスは以外としっかりした、といいますか、胃壁に刺さるだけあって張りのある丈夫な体をしています。ちょっと押したりつついたりしてみたことがありますが、そんなことでへこんだり皮が破れたりするようなやわなものではありませんでした。

なので、生の刺身が食べたい時はできるだけ薄切りにすることをお勧めします。そうでなければたたきが良いでしょう。
こうすればアニサキスもまっぷたつ!包丁から逃れられても、透けて見えるので発見しやすくなります。
(そうはいっても絶対100%保証できる方法ではありませんので自己責任で!)

注意!酢や醤油ではアニサキスは死滅しない!

アニサキスは胃酸の中でしばらく大暴れできる生き物です。

シメサバなどの酢や、しょうゆ漬け、わさびなどでは死滅したりはしないのです!

アニサキスから学ぶ:普段食べる魚介類は野生動物であることを忘れてはならない

人間でもほんの数十年前まで寄生虫というのは一般的な存在でした。

その当時も野生動物より衛生状態ははるかに良いですから、野生動物に寄生虫がいるというのは驚くことでもなんでもありません。

買った魚に寄生虫がいたと言ってスーパーに苦情を言うというのは、人間の方が飼い慣らされすぎていると言わざるをえないと思います。

普段目にする野菜や肉のほとんどは栽培・飼育等管理されたものですが、魚介類の多くは野生動物で、ここだけは狩猟採集の時代と大差ないところでしょう。自然の恵みをいただくことには常にこうした寄生虫や毒など危険と隣り合わせだったことを、すっかり野性を失った我々に教えてくれる数少ない機会と捉えることもできるかもしれません。

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